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ドリトル先生とめでたい幽霊
第二幕その五

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「大阪の中を放浪して流れ流れてね」
「そうなるんだ」
「何かあてもない感じで彷徨って」
「それでなんだね」
「うん、最後は落ち着くんだ」
 そうなるというのです。
「仮寝みたいなところでもそこにってね」
「彷徨った挙句に」
「流れ流れて」
「それでその最後になんだ」
「落ち着くんだ」
「そこで作品が終わることが多いんだ」
 織田作之助の作品はというのです。
「基本ハッピーエンドだね」
「落ち着くからだね」
「そうなるんだね」
「ハッピーエンドはいいよね」
「それなら」
「そうだね、それならね」 
 ハッピーエンドならというのです。
「いいね、だらしない主人公が多いけれどね」
「憎めなくて」
「それででも生きていて」
「それであちこち渡り歩いて」
「それで最後は落ち着く」
「そこで終わるんだ」
「読んでいたらその落ち着いたところでね」 
 まさにそこでというのだ。
「留まる感じだね」
「じゃあやっぱりハッピーエンドだね」
「終わりよければ全てよしだし」
「そこで終わるならね」
「落ち着いたところで幸せに暮らすなら」
「うん、だから読んでいてもほっとするんだ」
 そうなるというのです。
「最後は落ち着くからね」
「そう聞くと僕も読みたくなったよ」
 王子は鰻をご飯の中から出してです。
 それとご飯にかけてあるタレでご飯を食べながら先生に言いました、食べる表情はとても明るいです。
「織田作之助さんの作品を」
「読むといいよ、文章は読みやすいし一作一作短いしね」
「短編なんだ」
「短編作家なんだ」
 実際にというのです。
「その辺りは芥川や太宰と同じだね」
「二人共短編多いしね」
「太宰で長めの作品は斜陽や人間失格だけれど」
「どちらも太宰の代表作だよね」
「どちらもすぐに読めるよ」
 長めでもというのです。
「そして織田作之助の作品はね」
「もっと短いんだ」
「そうなんだ」  
 これがというのです。
「だから読もうと思ったらね」
「すぐに読めるんだね」
「一作一作ね」
「じゃあ夫婦善哉も」
「短めだから」
 代表作と言っていいこの作品もというのです。
「すぐに読めるよ」
「しかも文章は読みやすいんだね」
「そうなんだ」
 実際にというのです。
「これがね」
「読んでみるね」
 王子は笑顔で応えました。
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