暁 〜小説投稿サイト〜
ネオニートの裏側
第二章

[8]前話
「必死に株のことを勉強して」
「株でお金を手に入れて」
「投機をして」
「土地まで買って」
「大学に通っている間もです」 
 その時もというのだ。
「受験の時も株やってましたし」
「そこまでされたんですか」
「受験も兼ねて」
「それで大学に合格して」
「大学に通っている間もですか」
「暇があれば海外に行って」
 そうもしてというのだ。
「投機にいい場所かチェックして」
「ちゃんと投機して」
「お金を手に入れてたんですね」
「わざわざ海外まで出て」
「株も確実に儲かる様に」
 その様にというのだ。
「企業を選んで経済も見て」
「それで売ってですか」
「利益を得たんですね」
「株でも」
「物凄く勉強しました、それで遂にマンション建てて」
 タワーマンションをというのだ。
「そこに人を入れて今はその家賃で暮らしてます」
「そういうことなんですね」
「よくわかりました」
「だから今はここにおられますか」
「悠々自適で」
「そうです、いや今はこうして暮らしてますが」 
 藤原は笑って話した。
「ここまでが大変でした」
「勉強したり海外に行ったり」
「学生生活もしながら」
「だからですね」
「ええ、一生分は働いて気力を使ったかも知れないですね」
 そこまでだったというのだ。
「人間生きる為には」
「努力が必要ですね」
「悠々自適になるまでにも」
「そうですね」
「そう思います、俺は所謂ネオニートですが」 
 自分からこう言った。
「ネオニートになるにもです」
「それなりの努力が必要ですね」
「必死にやってそれが出来るだけのものを用意する」
「そうしないと駄目ですね」
「そう思います」 
 自分が煎れたお茶を飲みつつ話した、藤原はそれからも島で悠々自適のネオニート生活を楽しんだ。だがそれまでの努力と苦労を知ってだった。
 島の者達は頷いた、悠々自適の生活を楽しむ為にはそれなりのことをしなくてはいけないとわかっていて彼にそれを見たからだ。
 それで島に住む彼と親しく接した、彼は島で結婚し家庭も持った。そこに至るまでの努力と苦労は確かに報われていた。
 しかし彼はある日島の者達にこんなことを言った。
「ここで異世界に飛ばされたら嫌ですね」
「まあそれはですね」
「誰でも嫌ですね」
「急にそうなったら」
「そうならないことを願います」
 笑って言った、そして幸いそうしたことにならなかった。彼は悠々自適な生活の中でふとこんなことも思いながら過ごしていった。


ネオニートの裏側   完


                   2022・1・21
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ