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Fate/WizarDragonknight
破れた封印
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ギア!? トレギアなの!? コヒメはどこ!? コヒメを返して!」

 可奈美の脇を通り過ぎて、美炎が霧崎に掴みかかる。

「ねえ、返して! コヒメを返してよ!」
「おいおい、やめてくれ。服が伸びるじゃないか」
「答えてよ!」

 だが、霧崎は美炎を突き飛ばす。もう一度接近しようとした美炎の顔面に、風船を持った手を突き出す。

「はい、風船どうぞ」

 霧崎のその言葉に、美炎は風船を払いのけた。
 夜空に飛んで行く風船。それを見上げながら、可奈美の耳はさらに美炎の叫び声を捉えた。

「ふざけないで! 答えてよ!」
「おお、怖い怖い。ん?」

 霧崎は笑みのまま、美炎の頭を掴む。

「うっ!」
「美炎ちゃん!」

 髪を掴み上げられた美炎を助けようとする可奈美。だが、霧崎はそんな美炎を可奈美に投げつける。
 折り重なって倒れた可奈美と美炎は、霧崎が蒼いベネチアンマスクを取り出すのを見た。

「あれは……っ!」

 その色合いから、その正体を察した可奈美。
 そして、それは現実となる。マスクを付けたところから溢れ出した闇が霧崎を包み、その姿をトレギアへ変えていく。

「美炎ちゃん! 写シ!」
「分かってる!」

 可奈美と美炎が同時にその体を白く染めるとともに、トレギアの爪から闇色の光が可奈美たちを切り裂く。爆発により、地面を転がった二人に代わり、煉獄がトレギアへ立ち向かう。

「おいおい……私はもう君と戦いたくはないんだがなあ?」

 トレギアは飛び退き、腰に手を当てた。
 煉獄は日輪刀を向ける。

「君にはなくとも、俺は君を鬼と……まあ、とにかく危険な敵と認識している。何があっても倒すだろう」
「へえ……本当に嫌われたものだね」

 トレギアは顎に手を当てた。

「なら、君たちが行きたがっている場所を教えてあげたら、少しは好きになってくれるかな?」

 トレギアは、湖近くにある森、その一角を指差す。

「ほら、君たちが知りたがってるものはあっちにあるよ?」
「あっちって……?」
「私が荒魂を連れて行った、ヤマタノオロチの封印の場所」

 その言葉に、美炎の目が赤くなる。
 トレギアは続けた。

「あの森の奥に、私が破壊したご神木がある。その根があった穴から、、封印の場所まで行けるよ」
「っ!」
「待って美炎ちゃん! でも……」
「行け! 衛藤少女!」

 可奈美の前に、煉獄が日輪刀を突き出す。

「彼の示した情報だが、他に当てもない! それに、全員がここで足止めを食らっては元も子もない!」
「でもっ」
「今の安桜少女は、冷静さなどない! 君が、彼女の助けになってくれ!」
「……うん!」

 後ろ髪を引かれる思いを抱きながらも
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