第二章
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「どういうことかな」
「間違えてきたみたいですよ」
「あいつ一人みたいですし」
「どうせテレビの収録の帰りですよ」
「まだ一部のテレビ局には贔屓されてますし」
「それで、ですよ」
「そうなんだ、あれだけ叩かれてるのにまだそんなテレビ局あるんだね」
古屋はその彼を見て顔を顰めさせて述べた。
「そうなんだね」
「みたいですね」
「出て来たのもそのテレビ局に持ち上げられてですから」
「まだあそこには贔屓されてるみたいですよ」
「ネットでは親兄弟まとめて叩かれてますけれど」
「テレビ局からは」
「そうなんだ、しかしこの店に来てどうするつもりかな」
古屋はジョニ黒を飲みつつ首を傾げさせた。
「ここはああした下品な奴が来るお店でないけれどね」
「そうですよね」
「何かお店の兄さん方に一番いいお酒出せとか言ってますけれど」
「一番いい席用意しろとか」
「一番奇麗な娘傍に置けとか」
「こうしたお店で言うことじゃないよ、それに今女の子も席も満杯だから」
古屋はこのことも話した。
「こうした時は諦めてもらうしかないよ」
「そうですよね」
「けれどああした人ってわからないですから」
「ですから」
「困りましたね」
「どうしたものかな」
言ってもわからない、そんな客でだった。
古屋もホステス達も困った、だがここで。
麻美子がすっと日目堕の前に出て来た、そしてだった。
「お客様、今は満席でして」
「帰れっちゅうんか」
「またいらして下さい」
「アホ言え、俺を誰や思うてるんや」
日目堕は自分の前に立って頭を下げる日目堕に目を怒らせてすごんだ。
「世界チャンピオンやぞ、その俺に何か言うてただで済む思うてるんか」
「そこを何とか」
麻美子はこう言った、そして。
日目堕をその目で見据えた、そこで店の誰もが麻美子の目に尋常ではない全てを一瞬で止める強さを見た、それは日目堕も同じで。
見ただけでわかる位に震え上がった、そうして言った。
「わ、わかったわ」
「それでは」
「またな」
そそくさと逃げ去った、麻美子はその彼を笑顔で見送ったが。
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