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レーヴァティン
第二百三十六話 熊鍋その八

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「そして神様もっちゃ」
「アッラーもだな」
「同じ神様でもっちゃ」
 その筈だが、というのだ。
「全く違うっちゃ」
「かなり余裕があるな」
「ちょっと以上のことをしても」
 コーランに出て来る登場人物達がだ。
「何もないっちゃ」
「神罰は滅多に下らない」
「嘘みたいに寛容っちゃ」
 旧約聖書の神と同じなのだ、イスラムではヤハウェとはアッラーのことなのだ。
「そしていつもハッピーエンドっちゃ」
「苦難はあっても乗り越えてな」
「そうなるっちゃ」
「そこが違うな」
「それを見てもっちゃ、同性愛が駄目なのは」
「余裕がなかった」
「そうかも知れないっちゃ」
 こう言うのだった。
「あくまでうちが思うことっちゃ」
「性への関心も余計なところに向けられないか」
「そっちも禁欲的でっちゃ」
「異性にだけ向けろか」
「それも決まった相手に」
 即ち生涯の伴侶にというのだ。
「兎に角当時は生産力が低くて」
「しかもヘブライの地は貧しかった」
「何の余裕もなかったっちゃ」
「だから生きる為にか」
「ひいては民族は滅びない為にっちゃ」
 まさにその為にというのだ。
「そうしてっちゃ」
「徹底していてか」
「一神教で」
 余裕がない、一切の迷いも勝手も許されないまでに過酷な状況の中で一神教になったと言われている。ただ一つの存在の下にまとまる為に。
「教えもっちゃ」
「厳しく同性愛もっちゃ」
「そうかも知れないっちゃ」
「成程な、その考えはなかった」
 英雄は羆の肉を食べつつ述べた、煮られていてその分柔らかくなっている。固い肉に煮込めば煮込む程そうなる。
「俺もな」
「そうっちゃ」
「実はな」
「しかし言われてみますと」
 良太も言ってきた。
「そうかも知れませんね」
「同性愛が禁じられた理由はか」
「さもないとです」
「禁じられないか」
「はい、ギリシアではです」
 同時代のこの地域ではとだ、彼は茸を食べながら話した。
「むしろです」
「同性愛の方が普通だったな」
「背景に極端な女性蔑視もありますが」
 古代ギリシア社会の特徴の一つだ、兎角女性には厳しかった。
「同性愛の方がです」
「普通だったな」
「はい、そして」
 そのうえでというのだ。
「神話でもです」
「同性愛は普通に出ている」
「ギリシアでは」 
 こう言うのだった。
「そうでした」
「それがあの国だったな」
「そしえヘブライに比べますと」
 同性愛に厳しかったその地とだ。
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