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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
砂に落ちる雫
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 オルコットさんは驚きながらも私が振り下ろしたエネルギーソードの切っ先をギリギリのところで回避、後方に回転しながらもこちらにしてレーザーライフルを向けて撃って来ました。剣を振ったせいで回避してもレーザーが左肩を掠ってしまい装甲が削られますが、ここで怯むとビットが戻ってきてしまいます。わざわざビットを相手にする必要はありません。相手に使わせる隙を与えなければ!

 距離を取ろうとするオルコットさんに離されないように肉薄する。距離を取られれば圧倒的にこちらが不利。ならば喰らいつけるだけ喰らいつく!

「はあ!」

 気合の声と共に振り下ろした剣はまたも避けられて距離を少し開けられる。けど私は撃ってくるレーザーを全て盾で防ぎ、また接近して剣を振るう。
 この繰り返しだ。

 本来のIS同士の戦闘相性なら退きながりながら撃てるオルコットさんの方が有利なのかもしれないけど、私の場合は違う。IS半分を覆う大きさの『オーガスタス』は、この距離では相手から見れば壁も同じ。第3世代用に対熱処理を施された盾表面はオルコットさんのレーザーライフルの射撃を全て遮ってくれる。私は熱探知センサーの示す位置に突っ込んで剣を振るうだけ。

 完全に追う側と追われる側の立場が逆転しました。
 でもジャミングも後10秒ももたない。そろそろ戦略を変えないと煙幕で誤魔化すという手段は通じない。

 この武装はあまり使いたくなかったんですけど……

 続けて斬りかかりながら再び退いたオルコットさんに向けて左手の盾を投げつけた。

『そ……んな程度! 舐めないでくださいます!』

 盾は当然のようにオルコットさんのレーザーライフルの連続射撃に撃たれて弾き飛ばされる。

『盾を捨てるなんて、勝負を捨てましたわね!』

「セット……」

 素早くこちらの姿を視認したオルコットさんがレーザーライフルを構えた。
 それを見計らって私は……

「オープン!」

 言葉と共に左腕を斜め上に振るい…………風を切る音と共にオルコットさんの手からレーザーライフルを弾き飛ばした。

『え!?』

 混乱していてもそこは流石代表候補生。瞬間的にビットをこちらに飛ばしてきています。お見事です。でも……

「今までとは違うんです!」

 振りぬいた左手を振り下ろす。またも風を切る音と共にオルコットさんの左肩に『それ』が直撃しました。
 そのまま『それ』がオルコットさんの左腕に巻きついて拘束していく。

『ぐ! こ、これは……鞭!?』

 叩きつけられた衝撃に苦痛の声を上げながらオルコットさんが『それ』を視認したようです。

 私の左腕から……正確には手甲の左手首の内側から鋼色の鞭が伸びています。
 仕込み鞭『ユルルングル』。
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