第一部 1977年
策謀 その3
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で、そんな話をしに来たのではあるまい」
深く頷くと、振り向いて正面を見る
「実はな、連中が私に近づいてきたのだ。
件の名簿を持って来て、大規模な摘発をすることを仄めかした。
まさかとは思うが、馬鹿げた事は考えては居るまい」
下を向いて、新しいタバコに火を点ける
「俺は、あの男と話す気にはなれん。
ソ連の茶坊主と噂がある気色の悪い輩に、何を吹き込まれた」
顔を上げ、正面の男の顔を見る
「兼ねがねその話は、伝え聞いている。
私とて、何れは民主的な手法による議会選挙の導入に関しては否定はしない。
ただこの戦時に、やるのは危険すぎないか……」
「仮に今、行動せねば、奴らの専横を許すことにならんか」
彼は、右手でタバコを持ったまま、話し続けた
「それは否定せんよ。ただ機会というものがある」
少将は、襟のホックを外し、椅子に深く座る
「奴等に《認められる結果》を見せればよいのかもしれんな。
もっとも貪欲な連中だ。
どの様な結末でも納得する《果実》が無ければ、否定してくるであろうが……」
「話は変わるが、貴様に頼み事をしたい。
戦術機に関する件だが、西側の機体との通信網の連携を進めるような対策を取ってほしい」
彼は、驚く
「何故その様な事を」
タバコを吸いながら、話しかける
「実はな、戦闘方法の違いで我々が危険に曝される可能性があるのだよ」
「詳しく聞こうではないか」
シュトラハヴィッツ少将が、語った危惧とはこのような物であった
英米を中心とするNATO軍と戦術の差異
《光線級》を選んで殲滅し、その後に爆撃機による攻撃をする《光線級吶喊》ではなく、ミサイル飽和攻撃や砲弾による集中砲火
防御陣地に誘い込んで、その他の集団を殲滅するのではなく、先ず攻撃した後に残存兵力を刈り取る手法の違いについてであった
人民軍が現在行っているBETA群に対する《光線級吶喊》では、先に戦術機部隊が先行
NATO軍が行う攻撃は、先に重爆撃ありきの運用
予定される《パレオロゴス作戦》では、西部戦線をNATO、東部戦線をWTO、ソ連軍が担当
戦場とは常に状況が変化する
もし仮に東西の部隊が混戦状態になれば、一時的とはいえ、作戦上《友軍》となった米軍に爆撃され、被害が出る恐れがあるのだ
被害が出れば、貴重な戦術機部隊だ
簡単には現在のような熟練兵を補充できるような状態にはならない
WTO軍の間であっても同様だ
仮に作戦が失敗した際、その様な事が多発すれば、対BETA戦では後れを取ることになる
支那での初期対応の失敗で、2週間以上の時間が浪費され、敗北を招いたのは苦い記憶として新しい
あの時、米軍の様に即座に核飽和攻撃に移っていれば、惨状は防ぎえた
馬鹿げた《プロレタリア独裁》の末に、階級制度を廃して、軍の機能不
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