異次元超人
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「コヒメ!」
見つけた。
廃工場、その最上階で、ようやくコヒメの姿を捉えた。
近代に作られたこの廃工場。無機質な機械が立ち並ぶ回廊。その中で、不自然な十字架が設置されている。台のように平らな岩に建てられる十字架は、ゴルゴダの丘にて処刑される神の姿を連想させた。
コヒメは気を失っているのか、目を閉じたまま動かない。
「コヒメ、大丈夫!?」
美炎がコヒメに駆け寄る。
だがその一方、可奈美は不安が胸に去来していた。
「大丈夫なの? トレギアがわざわざここに、理由なくコヒメちゃんを連れてきたのかな?」
少し腑に落ちないが、可奈美は立ち止まって美炎たちを見守ることにした。
だが。
「! 危ない!」
可奈美はその気配を察して駆け出した。
コヒメにもう少しで手が届くというところで、可奈美は美炎の肩を掴み、そこから落ちてきた刃から庇う。
そのままバランスを崩した可奈美と美炎が転がり、襲ってきた刺客の姿を睨む。
「何、あれは?」
あれは果たして人間と呼べるのだろうか。
右手に持つ、Y字に分かれた銀色の剣。一方、その左手は大きく発達しており、指一本一本が鋭い鉤爪になっていた。
その緑の瞳は無表情を宿しており、胸にも同じく緑の光が結晶として存在している。
それは、どことなく以前出会ったネクサスの同種族を模倣しているようにも見える。
エースキラー。
その名を持つロボット兵器は、その凶悪な鉤爪を構える。
「来る!」
可奈美は、急いで千鳥を抜いた。
同時に、エースキラーがその鉤爪で襲い掛かる。
金属音が響くと同時に、可奈美は左手で鉤爪の腕を掴みながら、美炎から遠ざけていく。
「美炎ちゃん! コヒメちゃんを!」
「ありがと可奈美!」
エースキラーとの戦いを繰り返す傍ら、美炎がコヒメを助けようと急ぐ。
だが。
エースキラーの目が輝く。
すると、蹴りとともに可奈美の体を歪ませ、そのまま放り投げる。
「美炎ちゃん!」
着地したものの、すでにエースキラーの妨害には間に合わない。
美炎とコヒメの間に割り込んだエースキラーは、そのまま彼女との戦いに突入している。
様々な剣術を組み合わせて戦う美炎に対して、エースキラーはその全てに近しい動きで対応していく。
「美炎ちゃん!」
可奈美もまた、美炎と並んで再びエースキラーに立ち向かう。
だが、エースキラーの武器は剣だけでなく鉤爪もある。
鉤爪は美炎の加州清美を掻い潜り、彼女本人にダメージを与えて転がす。
さらに、可奈美の千鳥はその剣で受け止め、鍔迫り合いとなった。
「うっ……」
その時、可奈美を襲う脱力感。
ふらつく足元に力を込め、
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