第七十五話 新体制
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アンの風呂好きは有名だが、それほど蓄えの無いヌーベルトリステイン時代は風呂好きは鳴りを潜め、ハルケギニアの世間一般的な王族として……の前提は着くが新国家の蓄財を心がけた。
もっとも、本国への通達も無しに戦争を起こしたりと、マクシミリアン自身の行動には突っ込み所は多かった。
そんなマクシミリアンもトリステインに帰ってきて、風呂好きの虫が再び湧いたのか、カトレアを伴って一日に数回程、王宮の風呂に入るようになった。
そんなマクシミリアンを真似て、成金達は自宅に豪華な風呂場を作るのが最近の風潮になった。
新宮殿で作らせた豪華な風呂場は高い料金設定で一般に公開され、自宅に豪華な風呂場が作れないが見栄は張りたい貴族と成金で溢れかり税収の足しになった。
当然、風呂の客に混じってスパイが跋扈したり、反政府的なサロン化しないように諜報にも気を使っている。
今現在、主の居ない新宮殿は改築中で、風呂場の区画と切り離して、本宮殿を軍事の中心となる国防総省の様な役割を与えた。
内政の中心である王宮と軍事の中心である新宮殿との間には地下通路が通っていて、地上から気付かれずに行き来が出来た。
歴史を紐解けば、内政を司る者と軍事を司る者は仲が悪いのはよくある事で、マクシミリアンはその辺に気を使い、
「政治の柱は軍事と内政だ。その二つが噛み合って初めて国はうまく立てるんだ」
と訓示を出した。
その甲斐あってか、表面上は内政と軍事の関係者にトラブルが起こる事はなかった。
……
国王は夜になっても忙しい。
僅か一ヶ月の間に、何度も公務の名目でパーティーの来賓として呼ばれ、王宮へ帰るのは深夜になる事も多かった。
今夜も来賓としてパーティーに顔を出し、一時間程談笑をして王宮へ戻ってきたのだが、カトレアの様子がおかしい。
「コホッ、コホッ」
しきりに咳をして苦しそうにしていた。
原因はパーティー会場内に充満したタバコの煙で、新世界からもたらされた嗜好品の中では、ショコラは女性に好まれタバコは男性に好まれた。タバコに関しての知識も喫煙マナーも未発達な為、この様な事態になった。
「カトレア、喉の調子はまだ悪いようだな」
「コホッ、ご心配をお掛けして申し訳ございません」
カトレアのために秘薬を持ってきたマクシミリアン。
「これを飲めばたちどころに治るぞ」
「ええ、ですが……」
秘薬を手渡そうとすると、何故かカトレアはむず痒そうにして嫌がった。
(……あ、これは)
マクシミリアンはピンときた。
これはカトレアの、『かまってほしい』のサインだ。
「それでは仕方が無いな。僕が直接飲ませてやろう」
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