第32話
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は怖がることはない。
ピッコロは兄と写真でしか知らない姉の師匠で、自分達のことを大切に思っていることを知っているからだ。
「すぐにあの世に行くって…本当に出来ないの?」
それを聞いたピッコロは表情は変わらないが驚く。
あの世は悟飯と悟天の姉である悟林がいる場所だ。
「何故あの世に行きたいんだ?」
「あのね…僕…姉ちゃんに会いたいの…お父さん達から姉ちゃんの話を聞いて…僕も会ってお話してみたいし、姉ちゃんと一緒に遊びたい…」
両親や兄から姉の話を聞く度に膨らんでいく感情。
強くて優しい姉。
出来ることなら会ってみたいと、接してみたいと思ったのだろう。
「悟天………残念だが、生きている人間があの世に行くことは出来ない。あの世というのはこの世に生きてる者が年齢を重ねてその命を終えた時にならないと行けない所だ…だが、ごく稀にお前達の姉…悟林のように幼くしてそこへ行く者もいる…」
それを聞いた悟天の顔がみるみる歪むが、悟天は涙をグッと堪えて服の袖で顔を拭った。
「……じゃあ…姉ちゃんに会えないの……?」
「……いや……いつかは悟林に会える。お前が年齢を重ねてあの世に行った時にな。」
実は死んだ人間は1日だけ現世に行くことが出来るという掟があるが、それを言うつもりはない。
悟林が現世に1日だけとは言え帰るつもりになるかは分からないし、幼い悟天を変に期待させることは出来ない。
「悟林は幼くても善行を何度も積んできた武道家だ。特別に体を与えられ、今でも修行していることだろう。お前があの世に行った時でも悟林はあの世にいるはずだ」
「本当?」
「ああ、あいつは父親の血が濃いのか強い相手との闘いを望んでいる。数多くの達人がいるあの世から去るのはお前の父親が修行をサボるのと同じくらい考えられん」
ピッコロが弟子である悟林の性格を思い出しながら不敵に笑った。
「そっか!じゃあ何時かは姉ちゃんに会えるんだ!でも僕がお爺ちゃんになったら姉ちゃん分からないんじゃないかな?」
「どうだろうな、あいつは何だかんだで勘が良い。自分の父親に似ているお前を見れば弟だと気付くかもしれん。だが、もし会えたとしても羽目を外しすぎるなよ。あいつはお前の父の強さだけではなくお前の母の気の強さも受け継いでいる。怒らせると恐ろしいことになるぞ」
「う、うん…」
それを聞いて身震いした悟天にピッコロは笑うと悟天と共に空を見上げた。
この空の向こうにいる悟林の姿を思い浮かべて。
そして話題となっている悟林は弟が生まれていることなど知る由もなく、天国を歩き回っていた。
「えーっと、この居住区のはずなんだけど…」
生前、武道家だったり戦士であった者達が暮らす天国
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