第十七章 それでも時はやさしく微笑む
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、郷田良純という男へ話した。
彼は、ショックを受けた後、憤った口調で、「全力をあげて調査をする。同朋を殺した者を、必ず捕まえてやる」といっていたらしい。
らしい、などと不確定なのは、アサキにとってすべて須黒先生から聞いたことだからだ。
須黒先生は、こうもいっていた。
メンシュヴェルトの幹部たちは、このことを知っていたのではないか。
加担したのか、率先したのか、容認したのか、黙認したのか、そこまでは分からないけれど。
樋口校長が殺されたのは、色々と知り過ぎてしまったことと、なおも知ろうとしていたこと。加えて、リヒトに対して少し敵対的で、あり大いに懐疑的だったから。
そこを、アサキたちの精神を不安定に追い込むための、玩具として利用されたのではないか、と。
そういわれてみれば確かに、この葬儀のやり方についても、そう思えてしまう。
アサキは、以前、校長から聞いたことがある。
異空で死んだり、あまりにむごたらしい死体は、行方不明として処理されて、組織の中だけで葬儀する、と。
不可解な死体があちこちで上がったら、人間の社会が混乱崩壊するからだ。
だというのに、この一般葬。
組織の中での秘密葬ではない。
先日の、慶賀応芽の葬儀も同様だ。
応芽の時には、遺体のない不可解さがメディアに取り上げられて多少騒がれたし、今回の樋口校長に関しては、むごたらしい殺され方をしたことを、まったく隠してもいない。
ぜんぶ裏で、至垂徳柳が仕組んでいるのでは。とも、思えてしまう。
あえて、世を乱れさせようと。
超ヴァイスタを、作り出そうと。
至垂にとっての、超ヴァイスタ有力候補がアサキであることは、本人の暴露によって分かっている。
だからといって、他から第二のアサキが出るのなら、それはそれで大歓迎であろうし。
と、これらの話は、
この葬儀場へと向かう道の途中で、須黒先生が悔しそうに唇を噛みながら、話していたこと。
あえて大きな話に持っていくことで、辛い気持ちを、はぐらかそうとしているのではないだろうか。
アサキには、そうも感じられた。
第三中は、組織の非戦闘員つまり背広組が、たった二人しかいない。いや、いなかった。
だから二人、須黒先生と樋口校長は、いわば唯一無二のパートナーとして、何年も活動してきたのだから。
メンシュヴェルトの末端は、戦闘員が少女に限られることから、利便性を考えて中学高校を中心としたものになる。が、指揮する大人つまり背広組の数は、少ない。
無駄に人数を置いても、極秘裏に動けなくなってしまう
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