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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
いざ、エジンベアへ
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らにしろ、このままでは王都に入ることはできない。最悪、犯罪者にされてしまう。
「? どうした? やっぱりないのか?」
 衛兵は、ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべながら私たちを眺めている。まずい、このままではエジンベアが火の海になってしまう。
「……わかった。この国のやつらは世界が滅びてもいいということか」
 そう言うと、ユウリは左の手のひらに力を込めた。
「それなら自分の国がなくなるくらい、大した問題ではないな」
「ダメーーっ!!」
 私は反射的にユウリにしがみついた。今までは冗談半分だとわかっていたが、今回は本気でやりかねない雰囲気だ。
「離せ鈍足!! お前はともかく俺を田舎者呼ばわりするなんて許せん!!」
「だからって国を滅ぼそうとしないで!! これじゃもっと誤解されちゃうよ!!」
「何だ!? 新手のテロリストか!? 誰か、こいつらを取り押さえろ!!」
 衛兵が叫ぶと、ただことではないと感じ取ったのか、辺りにいた通行人が一斉に逃げ始めた。そしてほどなく、他の衛兵と思しき数人の男性が集まってくる。
「まずいよ、ユウリ!! このままじゃお尋ね者になっちゃうよ!!」
 だが、私の訴えなどまるで聞こえていないかのように、必死に私の手を振り払おうとしている。
「一度痛い目を見ないとわからないんだ、こいつらは!! ベギラ……」
「勇者様!! あなた、勇者様ですね!?」
「え!?」
 突如ユウリと衛兵の前に現れたのは、私たちとそう変わらない年頃の、眼鏡をかけた少女だった。シーラよりも明るいプラチナブロンドがふわりと風になびく。
 そして彼女はそう言うなり、ユウリと向かい合わせになり彼の手を握り締めたではないか。
 その唐突な登場に、私とユウリ、さらに衛兵でさえ状況を把握できず、目を白黒するしかない。
「な、なんだお前は!? 突然しゃしゃり出てきて!! お前もこいつらの仲間か!?」
 もちろん仲間ではない。それどころか初対面である。現に私たちも、彼女の言動に困惑していた。だが、まだこの町に来て間もないのに、なぜ彼女はユウリを一目見るなり『勇者』だと思ったのだろうか?
「何を言っているんですか? この方は私たち一般人とは違って世界を救う特別な方なんです! 一緒にしてしまっては勇者様に失礼ですよ!!」
 もはや完全にユウリを勇者だと思っている。いや、間違ってはいないんだけど、今この状況を見て勇者だと言い切れる人間は、彼女以外にいないだろう。
「だがこいつは勇者である証拠を出そうとしなかったぞ。お前はどうしてこいつを勇者だと言い切れる? 何か証拠でもあるのか?」
 まるで子供の戯言だ、とでもいうように、衛兵は少女を見下ろす。対して少女は、銀色に縁どられた眼鏡をくいと上げながら、そのアメジストの瞳で衛兵を見据えた。
「証拠ならありま
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