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俺様勇者と武闘家日記
第2部
エジンベア
いざ、エジンベアへ
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み、ですか?」
 私が聞くと、ヒックスさんは大きくうなずいた。
「ええ。私も一度あったのですが、身だしなみをちゃんとしていないと、入国させてもらえないんですよ。まあ、お二人なら大丈夫だと思いますが」
 それっていったいどういうことなんだろう。身綺麗にしないと入れない国なんて、かなり変わっている。
「俺はともかく、こいつみたいな田舎丸出しの女は入国拒否させられるってことか?」
「田舎丸出しって……、私のこと!?」
 他に誰がいるんだ、という目で睨むユウリ。二の句が継げず、私は憤慨しながらも黙り込む。
「うーん……。ちゃんとしてれば大丈夫だと思いますよ? 多分……」
 だんだんと自信なさげに言うヒックスさんの話を聞いて、私はこれから訪れなければならないエジンベアに一抹の不安を覚えたのだった。



 二週間という長い時間は、思ったよりも早かった。毎日主に一人でトレーニング、もしくはユウリの体調が良い時は二人で戦闘の訓練、さらには甲板に飛び込んでくる海の魔物の排除などを行い、日々を費やしていた。
 それでも時間が余ったときは、船員の皆にこの船の操舵方法、帆の上げ方、錨の下ろし方、海図や潮目の見方など、いろんな航海術を教えてもらった。教わったところで、この船の船員たちは皆優秀だから私が手を出さなくてもすぐやってくれるのだが、せっかくだから覚えておいて損はない。
「見てください、もうすぐ着きますよ」
 甲板に出てみると、水平線のはるか向こうに陸地が見える。島にしては大きいが、大陸と呼ぶにはずいぶん小さい。
「あの大きな町がエジンベアです。中心部に立派なお城が見えるでしょう、あれがエジンベア城です。建国の歴史は古く、今から五百年以上も前だとか」
 私が身を乗り出して町を見ていたからか、ヒックスさんが隣に来て説明をしてくれた。
 するとそこへ、旅の仕度を整えたユウリがやってきた。
「随分早いね。まだ陸地まであんな遠くにあるよ?」
「お前はなんでそう暢気なんだ。そうやってボケッと外を眺めてる間にすぐ到着するぞ」
 相変わらず頭が固いなあ、なんて声に出したら、また髪の毛を引っ張られるに違いない。私は渋々自分の船室へと向かい、おとなしく仕度を始めることにした。
 そうそう、ちゃんと身だしなみを整えなきゃ。もし本当に入国拒否されたら、どれだけユウリに馬鹿にされることだろう。
 ちょうど船がエジンベア近郊の港に到着する間際に身支度を終えた私は、ユウリに厳しい目を向けられながらもなんとか下船した。
「ここがエジンベア……」
 私たちが停泊した港は、ポルトガとはまた違う活気に満ちている。人通りは多いのだが、なんというか、行き交う人々がどことなく上品な振る舞いをしている。
 港付近の街並みは整然としていた。デザイン性の高い住居は規則正し
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