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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
あたしと香子は、ユニットを組む
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とを言ったんだ。すぐに練習といきたいが…。

「ソフィー、どこ行ったんだろ。」
「さぁ…すぐに戻りますと言い、1時間は経つのですが…。」

あたし達の講師を呼んでくれるソフィーがいない。
彼女は約一時間前、あたしに美鈴さん。香子にパチュリーさんといった幻想郷の住人を召喚した後へカーティアさんに何か言われ、少し出てくると香子にそう伝えたらしい。

「帰ってきて…ないよね。」

直ぐに戻る。
とは言ったらしいが図書館の中も、部屋にもどこにも居ない。
神社で何か急用のようなものでもあったのだろうか?

「このままでは練習が…。」

ソフィーのいない状況、香子がそう口に漏らす。
いや、そんなことない。ソフィーがいなくたって

「いや、出来るよ。」

練習が出来ないわけじゃない。

「しかし…どうやって」
「あたしさ、歌が自信ないんだよね。」
「え…。」

基礎は学んだ。地盤はしっかりしている。
あとはそれを応用し、高めていけばいい。
長所は伸ばし、短所もできるだけ改善していく。
ひとりじゃない。ここにはあたしと香子でふたりいる。
だから、できる。

「そりゃあ幻想郷の人達は優しいからさ。上手だなんだって言ってくれるけど、あたし的にはイマイチ納得いってないんだ。」
「つまり…」
「付き合ってよ。ボーカルレッスン。」

練習中に耳にしたことはあった。
歌人というだけあり香子の歌唱力はかなりのもの。
贔屓無しに思わず聞き入ってしまうほどのものだった。
だから、教えてもらう人としてはうってつけなんだ。
それに、

「あたしも教えるよ。ダンス。」

レッスン中、香子が最も苦手としていたのはダンス。
だからそこは、得意なあたしがそれを教える。
互いの欠点を、互いで補い合って高め合う。
マスターとサーヴァントだけれど、こういう関係でも全然いいんじゃないかとあたしは思うんだ。

「ステップの踏み方、リズムの取り方、きっとすぐに香子にも出来るようにする。」
「はい…。では私も、葵様が自信を持って歌えるよう頑張りますね。」
「うん。それじゃあよろしく。」

お茶会は終わり、あたし達はそれからいつも通りレッスンルームへと向かう。

「頑張る、じゃダメかな。」
「?」
「こころちゃんが言ってたんだ。練習も楽しめって。そうすれば、自然と笑顔は出るようになるってさ。」
「それもそうですね。気を張りつめすぎるのは宜しくありませんでした。」
「そ。笑顔でやろう。笑顔で、ね。」

と、口の両端を指で吊り上げ、擬似的な笑顔を作ってみせる。

「ふふ…楽しいれっすんにいたしましょう。葵様。」

それを見ると、香子も釣られて笑うのだった。
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