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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
あたしと香子は、ユニットを組む
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られてる最中だけど。」
「そうだよね、うん。本当にごめんなさい。」

と、彼女は深々と頭を下げたのだ。

「あ、いやあの…ちょっと待ってよ。」

そこまで申し訳なくされるとなんだかあたしもどうしていいか分からなくなる。
なので、頭をあげるように言うと、彼女はゆっくりとその顔を上げた。

端整な顔立ちに、艶のある長い黒髪。
その佇まいに思わず見とれそうになる。

「あのー、この人は?」
「大久保です。大久保 麻美(おおくぼ あさみ)。4日後に葵さんとアイドル対決をする、張本人です。」

美鈴さんが彼女のことを尋ねると、彼女自身が申し訳なさそうに答える。
それから手に持っていた包みのようなものを差し出すとまた申し訳なさそうに答えた。

「あとこれ、良かったらどうぞ。」

なんだろう。菓子折だろうか…?

「猪の肉です…。」
「えっ」

詫びの品がとんでもなかった。
後で聞いたが、山で狩ったものだそうだ。


?

それから、美鈴さんは幻想郷へ帰還し、あたしは中庭にあるお茶会用のテーブルへと彼女を招いた。

「遅れて申し訳ありません…あ、あなたは…!」

図書館から遅れてやってきた香子もまた、彼女を見るなり驚いた顔をする。

「大久保 麻美です。あの時はエリザが本当にすいませんでした。」
「い、いえいえ…。」

椅子から立ち上がり、また深々と謝るがもういいよとやめさせる。
そうして3人で席につき、お詫びの品を届けに来ただけで帰らせるのもあれなので、少しお話をすることにした。

「アイドルのレッスンを…?」
「うん。あたし達、アイドルの基本のきの字すら知らないからさ。こうやって約束の日まで毎日、特別講師を呼んで練習してるわけ。」

今何をしているのか、近況はどうなのか、それらを話しながら用意したお茶菓子をつまみ、互いに話していく内に彼女がどう言った人間なのかもだいたい分かってきた。

「色々とすみません…。」
「アンタはさ、大人しいよね。まるでサーヴァントと正反対って言うかさ…。」
「えへへ…実はこれでもだいぶマシになった方で…。」

彼女、大久保麻美は身体のコンプレックスから周りから嫌われるのではないかと思い、ついこの前まで山で暮らしていた。
俗世から離れ、人と接することを避け、人馴れしていない彼女は会話もままならない状態だったと聞く。
さらに山に籠っていたため、世界がこんなふうになったことに気付くのにはだいぶ遅れたそうだ。

「私は…本当にダメだった。人と話すとなると、怖くなって、頭の中が真っ白になって、次に何を話せばいいのか分からなくなる…都会(ここ)に私の居場所なんてない。山だけが、私のいられる唯一の場所だった。」

と、彼女はアウトドア
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