第一章
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マスコットから見た日本シリーズ
僕はつば九郎、東京ヤクルトスワローズのマスコットだ。いつもヤクルトと共にあってこのチームを誰よりも応援してきて選手の人達だけじゃなくて監督やコーチの人達それにファンの人達と妹であるつば美と共に苦楽を共にしてきた。
ヤクルトは二〇一五年は優勝したけれど二十一世紀に入って苦戦したシーズンが多かった、最下位の苦渋も多く味わって来た。
去年と一昨年もそうだった、野村克也さんの頃はよかったという意見すら聞こえてきそうだった。かつての弱小球団に戻ったかの様だった。
けれど今年は違った、最初は阪神がぶっちぎりで首位を走っていたけれどシーズン途中から我がヤクルトは投手陣を再編成してしかも打線も元気になってだった。
阪神を猛追し遂には激しいデッドヒートを展開するまでになった、その時苦しい状況にもなったけれど僕は皆を信じていた。
今年は違う、今年のヤクルトは違う、幾ら阪神が強くても絶対に勝ってくれると。そして事実ヤクルトは見事シーズンを制した。
その後クライマックスで巨人を何なくやっつけた、正直言って今のヤクルトで今の巨人に負けるとは全く思えなかった。事実ヤクルトの試合運びは何の戸惑いもなかった。まさに覇者の野球を行って巨人を退けた。
こうしてヤクルトは日本シリーズ出場を勝ち取った、だが僕はシリーズを前にしてのマスコミの報道に心から憤りを覚えた。
殆どの人がオリックス有利だと言う、やれ山本がいるからだの宮城がいるからだの杉本が凄い吉田や宗や紅林が凄いだの言ってだ。
皆ヤクルトが勝つとか日本一になるとか言わない、オリックス有利で四勝一敗や四勝二敗で決まるとか言っていた。
ヤクルトを馬鹿にするな、僕は心から怒った。ヤクルトだってセリーグを制したんだ、覇者であることに変わりはない。僕はこのことを知っているからこそ怒った。
事実ヤクルトの戦力はオリックスなんかに負けていない、僕は断言出来た。
ずっとチームを引っ張ってくれた青木さんや石川さんだけじゃない、奥川さんをはじめとした若手の成長だってある、だからヤクルトは優勝出来たんだ。助っ人のサンタナさん特にクローザーのマクガフさんもおられる。
それでどうしてオリックスに負けるんだ、本当にヤクルトを見ているのかと僕は腹が立って仕方がなかった。それでつば美や高津監督に宥められもした。
監督に優しく絶対に大丈夫だ、と言われた時僕は確信した、このシリーズ勝つのはヤクルトだと。宥められるその時に言ってくれたその言葉の何と有り難かったことか。そして僕は監督の穏やかながらチーム全体を冷静に見たうえで言っているその言葉に本当に日本一を確信した。
僕はもう怒らない、そして戸惑わないし心配にも思わない、最後に勝って胴上げを果たすのはヤ
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