第三章
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「波斯のおなごも越南のおなごもや」
「その国の女のところにも行ったのか」
「そうしてきたわ」
「それで抱いたんだな」
「勿論や」
言うまでもないという返事だった。
「そうしてきたわ」
「そうか、それで夜はこの店でか」
「太夫相手にしてな」
最高位の花魁と、というのだ。
「楽しむわ」
「そうするんだな」
「いや、ここは極楽や」
世之介は満面の笑みで酒を飲みつつ言った。
「酒も食いもんも美味いが」
「女がか」
「ええおなごしかおらんで」
それでというのだ。
「しかも絶対に拒まん」
「だからか」
「極楽や」
そこに他ならないというのだ。
「最高の場所や、もうあれが収まることはないわ」
「俺も毎日三人は抱いてるがな」
「わしは四人やな」
「六十でよく出来るな」
「そやからわしはおなごのことはな」
「幾らでもか」
「そや」
まさにというのだ。
「もうすぐにや」
「おっ立つか」
「そうなんや、いやずっとここにいたいわ」
「大坂には戻らないか」
「これまでもええ思いをしてきたけどな」
六十になるまで快楽の限りを尽くしてきたがというのだ。
「そやけどな」
「まだか」
「わしはやるで」
「文字通りにやるんだな」
「そうするわ、そやからな」
「今晩もか」
「やるわ」
文字通りにというのだ。
「ほなお互いな」
「ああ、抱くか」
「そうするで」
男と共に飲んでだった、世之介は太夫の床に入った。
そして翌朝は風呂に入ったがその時は二人の女と一緒だった、そうした愛欲の日々を満喫していき。
気付けば二十八年、世之介はすっかり中年どころか初老に達した男に言った。男の名は東鶴ということも知った。
この時世之介は彼と共に昼飯に鯖でご飯を食っていたがそこで言うのだった。
「朝は尼さんやったわ」
「おお、そっちか」
「そや、尼さんもええな」
にんまりと嗤って言うのだった。
「ほんまにな」
「それで昼はだな」
「そや、今度はな」
まさにというのだ。
「十二単着たな」
「宮廷の女官とか」
「楽しんでくるわ、夜は南蛮のお姫様とや」
夜の話もした。
「楽しんで来るわ」
「昨日の夜は清の後宮だったな」
「そこにおったわ」
「そうだったな」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
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