03 始まりの艤装展開
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平賀は、ギリと歯噛みする
《・・・主任の仕業だな・・・相変わらず手際のいいこって》
何もかもお見通しな、あの人を喰ったような性格・・・・本当に・・・・
《・・・本当にムカつくぜ! あの女! 何の説明もしやがらねえっ!!》
こちらの思考を先回りして、段取りが既に完了していた。掌の上で弄ばれ、ほくそ笑んでいるアイツの薄ら笑いが目に浮かぶようだった
《落ち着け落ち着け・・・ここでキレたらアイツの思う壺・・・・・喜ばすだけだ・・・》
「・・・あの・・・浜風・・・・・・どうすれば?」
モンペ姿に姉さん被りをした少女が、あどけない瞳でこちらを見上げていた
そう・・・腹を立てても仕方がない。この子には関係のない事だ。いつもならその辺の機材を蹴飛ばして憂さ晴らしをしている所だが、この子の・・・浜風のあどけない姿を見ていると、そんな気もどこかへ消え失せていた
「ごほん・・・さてと嬢ちゃん、そこの盤木・・・船台の上に足をのせて・・・立ってごらん」
「・・・これ?・・・これに乗ればいいの?」
「そうだ。その上に立って、なるべく力を抜いて・・・・お船になった自分をイメージしてごらん」
「・・・お船に・・?」
「そう・・・海に浮かんだお船になった自分をイメージするんだ」
「・・・うん・・・・えと・・・お船・・・浜風は・・・・・・・お船・・・・・」
「その調子だ。 今から海水を注水するから、そのままイメージし続けるんだ」
そういうと、平賀はドックに注水を開始する。設定は、水深30cm。盤木から、丁度10cm程浮き上がる位の深さである。水面が上がってくるにつれ、浜風は少し怖くなっていた。浅いとわかっていても、やはり怖いものは怖い
と、平賀が浜風の手を取る
「大丈夫、よろけそうになったら俺が支えてやるよ、嬢ちゃん」
「・・・うん・・」
「集中するんだ・・・イメージするのは、お船になった嬢ちゃんだ」
「・・・こわい・・・」
「大丈夫・・・嬢ちゃんは艦娘だ。 体が、ちゃんと浮き方をわかってる。自分を信じてやんな」
やがて水面は浜風の足まで達する。足裏から接地感が徐々に薄れていくのを感じる・・・そして、盤木から足裏が離れ、水面に浮き上がる。その瞬間は、少しだけびっくりしたが・・・・・
「・・・立ってる・・・・・浜風、お水の上に立ってる・・・・・」
「・・・だろ? 艦娘なら、誰だって出来る。それこそ息をするのと同じ
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