03 始まりの艤装展開
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の建造が可能な大型のドックが要求されていた
そこで当時既に使われていなかった浦賀船渠跡地を改修し、艦娘建造ドックへと生まれ変わらせたのである
このドックからは数多の艦娘が建造され、第一次深海棲艦戦争の勝利に多大な貢献をしてきた
そう・・・
第T世代の艦娘は、深海棲艦の撃破による解放か、建造によって生み出されていた。建造ドックは、そうした時代の艦娘達を、数多く建造、輩出してきた
だが、第U世代以降の艦娘は、人との交わりを通して生まれ、そして覚醒を経て初めて顕現する・・・・
要するに、建造ドックは今や無用の長物であり、第T世代が活躍した時代の遺物と言えた
世界中のどこの鎮守府にあっても、使われなくなった建造ドックは放置され、その殆どが廃墟と化していた
だが、某鎮守府には、あの《夕張》がいた
彼女からしてみれば、例え使われなくなって久しい設備であっても、整備不良で稼働しない状態など、まったくもって、許しがたい事だった
ましてや、ここがかつての名門、浦賀船渠であったとなれば、なおの事であった
数年前に彼女が某鎮守府に赴任して来た時、彼女が最初に手がけた仕事が、この建造ドックの改修であった
流石に使われていない設備に予算を投じるのに提督も難色を示していたが、《いつの日か、必ず必要になる時が来ます、備えは万全にすべきです!》・・・と、心にもない夕張の誰得な説得に押し切られ、建造当時よりもハイスペックなハイパー建造ドックに生まれ変わっていた
煉瓦積みのドライドックの外観もそのままに、今やオブジェと化した使われないドックサイドクレーンやポンプ施設の整備も万全。エンジニアとしての矜持も満たされ、夕張もご満悦であった
多額の資材を投じてリニューアルした建造ドックなれど、まぁ当然と言えば当然だが、艦娘が建造される時代など訪れるはずもなく、今の今まで無用の長物と化していた
それが・・・・
「こんな形とはいえ、だ・・・・いや、まさか本当にこれを使う日がくるとは・・・夢にも思わなかったぜ」
ドックの底部まで辿り着くと、所々に水溜まりが残ってはいたが、すっかり排水が済んでいて、すぐにでも浜風の進水が行える状態になっていた
磯の香りが漂う湿った煉瓦を踏みしめる・・・・子供の頃から清霜と何度も忍び込んでは爺さんに捕まってとっちめられたのが、平賀にはまるで昨日の事のように思えた
「・・・昨日までは海水で満ちていたはずなんだがな・・・・・・」
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