03 始まりの艤装展開
[3/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
と、感慨深げであった。同行していた平賀に話しかける
「・・・あの、浜風はこれを着けて、大砲とか撃ったりするの?」
「着ける・・・というか、この艤装は、いつでも嬢ちゃんの背中に呼び出せるんだよ」
「・・・呼び・・・?・・・え?・・・」
「ここは、艤装の格納庫・・・というよりはむしろ《霊廟》のような場所なんだよ。この地上のどこかで艦娘が覚醒すると、ここに艦娘の艤装が召喚されるってわけさ」
「・・・・?」
「ははは、よくわからないって顔だな・・・まぁ、やってみた方が早い。イメージしてごらん。自分が艤装を展開している姿を。なるべく気持ちを強くしてな」
平賀は、浜風を姿見の前に立たせると、やってごらん、と促した
「・・・うん・・やってみる」
そういうと浜風は目を瞑り、艤装を背中に着けている自分を思い浮かべた
《・・・艦娘さんみたいになりたいです・・・》
(2020年5月3日・5日加筆)
・・・それは、ほんの一瞬であった
浜風は背中に、ずしりとした重さを感じた
両手と、両太ももにも今までにない重みを感じる・・・でも、不思議と重さは感じても重いとは思わなかった
少し体を揺さぶったり、手を動かしながら歩いてみたりした。背筋も辛くないし、両の腕も軽く動かせる。本家の朝の仕込みで井戸水を汲んで運ばされる時の方が、何十倍も辛い位だ
「こんなに重そうなのに、すごく軽い・・・」
少し嬉しくなってはしゃぎ気味の浜風とは対照的に、平賀はほんの少しだけ、目付きが厳しくなっていた
《・・・ほう、展開が速い・・・、しかもこの子は確か・・・・》
(2021年2月15日 加筆修正)
平賀の見る限り、浜風は本当に、息をするようにごく自然に艤装を展開していた
艤装展開の速さは、艦娘によって個人差がある。傾向として、度重なる空襲や奇襲攻撃のような修羅場を幾度となく潜り抜けてきた艦娘程、展開速度が速い傾向にある
そういう意味では、浜風と、その相方の磯風程、修羅場をくぐってきた艦娘はいないと言える
だが、艦娘時代の記憶を持たないまま覚醒した場合、研修でレクチャーを受けたとしても、なかなかうまく展開出来ないのが普通である。無論浜風は艦娘時代はおろか、軍艦時代の記憶さえ持ち合わせていなかった
それが「イメージしてごらん」位の軽いアドバイスだけで、実にあっさりと、それも歴戦の艦娘並みの見事な趣のある展開をや
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ