03 始まりの艤装展開
[12/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
く着水した
「・・・あ・・・ホントだ・・・沈まない・・・・・」
今度は、水面に両手をついてみた。腰掛けた時と同じように、やわらかい感触が掌に伝わってくる
「・・・やわらかい・・・・不思議・・・・。」
浜風は意を決して、今度は水面に寝そべってみた。ふかふかの、やわらかいベッドに寝そべっているようで、気持ちよかった
もっとも、濱乃屋に浜風の寝床はない。いつも廊下の片隅か、土蔵の中で地べたに身を屈めながら眠っていた。だから、やわらかいベッド、というのは、あくまでも浜風の想像でしかない
仕舞いには、水面でごろごろと寝返りを打ち始めた。もう、楽しくて仕方ないという感じで、見ている平賀も、何だかほっこりしていた。正直、進水でこんなにはしゃぐ子を見るのは初めてだった
「・・・すごい・・・・浜風、もう怖くない・・・・・」
「・・そうか・・・それは何よりだ」
平賀は、そんな浜風の様子を見て、ホッと胸を撫で下ろす
《俺の任務も、どうやら無事に済みそうだ・・・・・・・?・・・・・・・そういえば・・・・・》
《・・・・・・・あ・・・・・・》
ふと、何かを思い出す・・・
《大事な事を忘れてたぜ・・・・・》
「・・・・そうだ、嬢ちゃんにいい事を教えてやろう・・・」
「・・・・いい・・・こと?・・」
水面でゴロゴロしながら、浜風は聞き返す
「このドックは、かつては浦賀船渠って呼ばれててな・・・・・・140年前に・・・・嬢ちゃんはここで生まれたんだ・・・・」
「・・・・え・・・・・・浜風が・・・・・ここで?」
「・・・・ああ・・・・・・ま、言ってみれば、ここは嬢ちゃんのお母さんのお腹の中ってとこだな・・・・」
「・・・・・おかあさん・・・・・」
「・・・・そっか・・・・・・おかあさん・・・・なんだ・・・・・・ここ・・・・・」
浜風は、うつ伏せたまま水面に頬をつけ、目を瞑る
「・・・・ここにいたんだ・・・・・おかあさん・・・・・」
もうそろそろ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ