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絶撃の浜風
03 始まりの艤装展開
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(2020年4月26日執筆)







 大淀から自分が《艦娘》であることを知らされたのはつい昨日の事である。そして、その日から《濱乃》は《浜風》になった


 色々ありすぎて、少々戸惑い気味の浜風であったが、それでも自分が艦娘であるという事実は、浜風をわくわくさせていた



 浜風は、二年もの間、ずっと濱乃屋でこき使われ、ただひたすら我慢して生きてきた。自分の運命を悲観する事など、日常茶飯事であった。それが、まさか自分にこんなすごい運命が待ち受けていたなんて、思いもしなかった。それは浜風にとって、暗闇に差し込んだ一条の光にも似ていた


 自分もこれから・・・・少なくとも鎮守府に来ている時だけは、艦娘たちの中に入ってキラキラするんだ・・・・浜風はこれからの自分の未来を、漠然とそう思っていた







 浜風たち教育実習生の集合場所は、工廠前にある射撃演習場であった。普段は艦娘たちの射撃練習の他、艤装の調整やテストで使用されている


 今日は教育実習生たちに、実際に艤装を展開してもらい、艦娘のなんたるかを肌で感じてもらう事が主目的である。因みに今回の実習生は浜風他、清霜を含めた二名である




「よく来たな、二人とも。俺がお前達の教導艦を務める平賀一尉である。と言っても、まぁ、アレだ・・・普段はここの整備長をしてるんだがな」


「ねぇ、なんでゲンちゃんが教導艦やってるの?」



 教導艦は、本来艦娘が執り行うのが通例である。だから清霜のこの質問はもっともであるが、問題はそこではない



「ゲンちゃんて言うんじゃねぇ! キヨ、今日の俺は教導艦様だ。 軽口叩いてると、海に出さねえからな!」


「え〜、それは困るぅ〜!」」



教導官と清霜の気易いやりとりを見て、浜風は二人が親しい間柄であると気付く



「あの・・・教導艦さん・・・清霜ちゃんと、知り合い・・・なの?」


「ん・・・・・・ああ・・・昔、ちょっと・・・な・・・」


「・・・・昔って・・・?・・・」


「・・・あいつ、毎回この鎮守府で覚醒してるからな・・・・」


「・・・・?」


「俺の家系は、代々艦娘の艤装の整備を生業としてるんだよ。俺の親父も、爺さんも、整備士だったんだ」


「・・・そうなんだ・・・」


「親父の代の時も、爺さんの代の時もキヨがいてな・・・俺がガキの頃、先代のキヨとはよく遊んでたんでな・・・ま、そんな感じだ」


「・・・なんか・・・すごい・・」


「すごいっていうか、こっちはすっかりオッサンになっちまったってのに、アイツはいつまでもガキくせえからな・・・いやんなるぜ」



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