暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
攻め時の見定め
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うにわかる。

「ショートがうまかったから抜けなかったけど、普通ならヒットになってる」
「先頭打者がいい当たりを打てれば、次の打者も思いきりを持って打席に入れる」

その言葉通りに続く打者は真ん中に入ってきたスライダーを強打。セカンドの頭を越えていく打球。センターに入った伊織が回り込んで捕球、セカンドへ送球。しかし、わずかに打者走者の足が上回りセーフになった。

「む〜ん……」

二人続けてのいい当たりに顔をしかめる莉愛。紅白戦ではゾーンに入ってこなかった変化球が今日は入ってきているものの、すべて真ん中に集まっており痛打されてしまう。

(気持ち厳しめを狙うイメージでお願いします)
(わかった)

ただ、打たれると言うことはしっかりとコントロールされている証拠。そう思い真ん中から外れたところに構えるが……

「ボール!!フォア!!」

今度は制球が定まらずフォアボールを出してしまう。これによりランナー一、二塁。莉愛も溜まらずタイムをかけてマウンドに駆け寄る。

「立ち上がりはどの投手も課題に挙がるからねぇ。このチャンスをものにしてほしいなぁ」

打席の準備をしている少女に聞こえるようにわざとらしく言う女性。彼女の意図がわかっているからなのだろうか、少女は苦笑いを浮かべながら何事もなかったかのようにバットを振る。

「楓さん、いい球来てるので自信持っていきましょう」
「うん。わかった」

頷いているものの焦りを感じているように見える楓。莉愛もどうやって落ち着かせようかと思っていたが、いい言葉が思い付かないままポジションへと戻る。

(変化球が真ん中に集まってきてる……となるとストレートを中心に行くしかないよね)

左打席に入る少女。打順は8番と下位に向かっていくものの、ランナーが二人いる状況では慎重にいかざるを得ない。

(ピッチャーの子も不安定だけど、ずっと気になってるのはキャッチャーなのよね)

ベンチから相手の小さな少女を見つめる女性。彼女は一生懸命にキャッチャーを務めている少女に違和感を感じずにはいられなかった。

(最初は一年生だからかと思ってたけど、所々動きが変なところがあるのよね。もしかしたらキャッチャー経験がほとんどないんじゃないのかしら)

女の勘といったところなのだろうか、莉愛に対して不信感を抱いている監督。ただ、さすがの彼女も初心者をキャッチャーに据えているとは思ってはいないようだ。

(本当は斉藤さんが投げてる時に今の状況を作れればパスボールの確率も増えたんだろうけど、いい打順がなかったのよね。でも、安心してやれてた試合でこのピンチに冷静な判断ができるかしら?)

ニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべながら相手の出方、そしてその後を展開を見届けようという姿
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