第二章
[8]前話
雑炊も食べる、だが。
真理華は満腹になった、それで彼もだった。
「もう限界?」
「いや、まだいけるよ」
こう言うがだった。
明らかに苦しそうだった、それで彼に言った。
「無理しなくてもいいのよ」
「いや、残したら駄目だから」
谷田は必死の顔で言葉を返した。
「絶対に」
「それでなの」
「全部食べるよ」
「そうするの」
「残さないよ」
「本当に残すの嫌なのね」
「絶対にね」
こう言いつつ食べてく。
「だから全部食べるよ」
「水炊きも全部食べて」
「雑炊もね、無理をしてでもね」
「もうかなり無理してない?」
「だって勿体ないから」
こうも言うのだった。
「それでね」
「全部食べるの」
「意地でも」
その苦しい顔で言ってだった。
谷田は雑炊を米一粒残さず食べ終えた、そうしてから言った。
「終わったよ」
「本当に全部食べたわね」
「うん、この通りね」
「まさか本当に食べるなんて」
真理華は驚きを隠せない顔で述べた。
「凄いわ」
「だから残すことはしたくないから」
絶対にというのだ。
「何があってもね」
「食べたのね」
「そうしたよ、今回もね」
「その心意気凄いわ」
「褒めてくれるんだ」
「私も食べ残すのは勿体ないって思うしね」
真理華にしてもこの考えは同じだった、それで谷田の今の行いに頷けたのだ。
「だからね」
「そうなんだね」
「ええ、じゃあ今はゆっくりしてね」
たらふく食べたからだというのだ。
「そうしてね」
「そうしていいかな」
「沢山食べた後はその方がいいから」
休んだ方がというのだ。
「そうしてね」
「じゃあお言葉に甘えて」
谷田は横になろうとした、そこで真理華は彼にベッドに入る様に言った。すると彼はその言葉にも従った。すると彼はすぐにベッドの中で高いびきを出した。真理華はそんな彼を見て自然と笑顔になった。
食べ残さない 完
2021・12・26
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