第二章
[8]前話
「ばったり会うなんてね」
「本当に奇遇ね」
「旦那さん隣の県に実家あるって言っても」
「そうそう出会うものじゃないわね」
「本当に奇遇だよ、人間の出会いってわからないね」
「そうね、それとね」
奈江はここでだった。
動く車の前を観つつ夫に尋ねた。
「あの人としたわよね」
「いや、それ聞く?」
「だって付き合ってたってなると」
「それはね」
妻に少しバツの悪い顔になって答えた。
「やっぱりね」
「そうよね」
「うん、したよ」
「そうよね、付き合ってるってなると」
「そうだったよ」
「私もそうだったしね」
奈江は夫に笑って話した。
「あなたと付き合う前はね」
「その時付き合ってた人とだよね」
「してたわ」
「やっぱりそうだね」
「付き合ってるとね」
それならというのだ。
「やっぱりね」
「するね」
「それであなたもあの人としてたのね」
「それはね」
「それで私もね」
「それは誰でもだね」
「ええ、ただ大事なのは」
ここで妻はこう言った。
「付き合ってる人とだけする」
「そうしたことはね」
「浮気しなかったらいいわね」
「そういうことだね」
「結婚したらね」
「僕とだけだね」
「私とだけね、しかしそう考えたらあの人と私他人じゃないわね」
奈江はくすりと笑って言った。
「それであなたとあの人のご主人も」
「まあ元カレってことで」
「そうね、そんな人とたまたま会うなんて」
「世の中不思議だね」
「そうね、何かと」
奈江は笑って言ってそうしてだった。
夫と家に帰ってからのことを話した、もう先程の出会いのことではなく今の自分達のことを話したのだった。
ばったりと会った 完
2021・12・25
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