第六章
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「この子達もね」
「クゥン」
「ニャアン」
「大事よ」
「この子達が暴力を振るわれても嫌だよね」
夫はまた妻に問うた。
「そうだね」
「絶対に許せないわ」
「自分がそうされて嫌だったらね」
「誰にもしてはいけないっていうのね」
「幾ら怨んでいても」
そうした相手でもというのだ。
「止めよう」
「妹なのよね、叔母さん」
娘は二人の関係のことを聞いた。
「仲が悪くても」
「そうよ」
「だったら余計にね」
「いじめたら駄目っていうのね」
「本当にもう止めて」
娘の言葉は悲しいが強いものになっていた。
「叔母さんをいじめないで」
「うちに置いておけないなら入院してもらおう」
夫は解決案を出した。
「それで鬱病の治療もしてもらおう」
「私は治療させなかったけれど」
「そうしていこう、どうかな」
「ええ、顔を見たら私も昔のことを思い出して」
怨み、それをだ。
「暴力を振るうし」
「それが止められないならね」
「わかったわ」
春奈は遂に頷いた、こうしてだった。
夏樹は病院に入ることになった、そのうえで鬱病の治療を受けて社会復帰を目指すことになった。だが。
春奈は自分が夏樹を虐待していた時の姿、動画のそれと夫と娘の必死の言葉をいつも思い出す様になった。そうして時折夫に話した。
「人間憎いと思ったら終わりね」
「あの時の君だね」
「両親も夏樹もね」
「本当に憎かったんだね」
「ええ、それでね」
夏樹を家に入れてからというのだ。
「もう鬱病で喋らなくなって無抵抗になったあの娘にね」
「憎しみをぶつけて」
「いつも顔を見たらひっぱたいて蹴飛ばして」
馬乗りになって何度も顔をひっぱたき拳で殴っている動画もあった、その時の自分の顔を見るとまさに鬼だった。
「そんなのだと」
「人間憎いと思う時はあるよ」
夫はそれはあると答えた。
「しかしね」
「しかし?」
「憎しみに心を支配されたら」
その時はというのだ。
「復讐鬼になるしかないよ」
「私は復讐鬼になっていたのね」
「そして復讐鬼の末路なんてね」
「知れたものね」
「うん、だからもうね」
「憎しみに心を支配されたら駄目ね」
「そのことを気をつけてね」
「そうしていくわ」
夫の言葉に俯いて答えた、そうしてだった。
以後彼女は憎いと思うと自然にこの時の自分を思い出す様になった。そしていつも憎しみの念を止める様になった。
夏樹は鬱病が治り退院し自分に合った仕事を紹介されて社会復帰を果たした。だが姉妹はもう会うことはなかった。夏樹は春奈の名前を聞くだけで怯える様になっていたからだ。そして春奈も自分の憎しみを思い出すので夏樹と会おうとしなかった。だが二人共社会で生きていった。
役
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