廃工場
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び去って行った。
「美炎ちゃん! ……ああもうっ! ハルトさん!」
可奈美は、美炎の後を駆けながら、スマホを取り出したのだった。
ソロを見失った。
そう判断したころには、すでに日が暮れていた。
ソロを追いかけることを諦めたハルトは、改めて可奈美から聞きだした、美炎が向かった場所へ向かった。
それは、見滝原南。工業団地が栄える、その一角だった。現在は使われていない廃工場へ、美炎は姿を消したらしい。
「可奈美ちゃん!」
そこで待つ可奈美へ、ハルトは呼びかけた。
「ハルトさん!」
「可奈美ちゃん、美炎ちゃんは?」
「それが……見失っちゃって」
可奈美は、廃工場を指差しながら言った。
「この工場に入っていったんだけど、ここかなり広くて……それに、本当にトレギアとコヒメちゃんがここにいるのかも分からないし……」
「少し落ち着いて」
可奈美の肩を抑えながら、ハルトは彼女を落ち着かせる。
「そもそも、なんで美炎ちゃんはここに来たの?」
「それは……」
可奈美は言葉を失ったようだった。
「私も分かんないんだけど……なんか、目が赤くなったような……?」
「何それ。刀使って、そんな能力あるの?」
「ううん……私も初めて見たよ。それより、本当にここに、トレギアがいるのかな?」
「そんなこと言っても、他に手がかりもないしなあ……」
ハルトはそう言いながら、指輪を取り出す。
『ガルーダ プリーズ』
赤い魔法陣によって作り上げられる、鳳凰の形をした使い魔。
鳥の形をしたプラモンスター、レッドガルーダは、ハルトが付けた指輪によって産声を上げた。
「ガルーダ。ここに、多分トレギアがいるかもしれないんだ。探してみてくれない?」
だがガルーダは、ハルトの命令よりも可奈美の頭上に移動することを選択した。
キーキーと声を上げながら、可奈美の頭に乗る。
「ガルーダ……」
だが、索敵を主任務としている赤き使い魔は、「いやいや」と言わんばかりに体を振る。
「ガルちゃん。お願い。一緒にトレギアを探そう?」
ところが可奈美がお願いすると、ガルーダは一鳴きで飛んで行く。
「ああ、おい! ……アイツ……」
主であるはずのハルト以上に、可奈美へ忠実になっているガルーダを、ハルトは細めた目で見送った。
「はあ……まあ、いいや。それじゃあいっそのこと、可奈美ちゃんはガルーダと一緒に回ってみて。連絡はなるべく小まめにやってね」
「分かった」
可奈美は頷いて、ジャンプ。ガルーダの後に続いて、二階のフロアへ消えていった。
「可奈美ちゃんは上か……じゃあ、俺は下からか」
可奈美と別れてから、ハル
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