第十六章
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「この一点、絶対に守る!」
彼はもうその心のみがあった、川端が打ち塩見が駆けた一点ヤクルトを愛する全ての者が歓喜したその一点をだった。
彼は守り抜くことを誓った、そのうえで。
最後のマウンド、日本の今年のプロ野球の最後のマウンドにするべくその場に上がった。そうしてだった。
デッドボールこそ出してしまったがそれでもだった。
ツーアウトになり宗に投げた、最早誰にもマクガフは打てず。
宗の打球は詰まった、その打球は空しく転がり。
セカンドの山田がボールを捕った、そしてファーストに荒木貴裕に送球し。
荒木はボールを受け取った、勿論足は一塁ベースにあった。
「やった!」
「勝ったぞ!」
「日本一だ!」
「俺達は勝ったんだ!」
ヤクルトナインもファン達もこの瞬間喜びを爆発させた、既に十一時を回っていたがもう寒さなぞ問題ではなかった。
神戸をそしてそこから日本中を熱気が支配した、燕を愛する者全てがこの日本一を心から喜んだ。
敗れ去りその場に立っているだけとなったオリックス側の目の前でヤクルトナインはグラウンドに出てお互いの健闘を讃え合い喜びを分かち合った、そうして。
高津を胴上げした、高津はここで満面の笑顔になった。
「皆よくやってくれた」
「全部監督のお陰です」
「監督がいてくれたからです」
ナイン達は高津の感謝の言葉に逆に彼への感謝の言葉を返した、そうしてだった。
この日本一を再び心から喜んだ、だがここでヤクルトファン達は思った。
「ずっとオリックス有利って言われてたな」
「評論家も殆どそうだったな」
「もう口を揃えてオリックス日本一だった」
「山本は打てないだの宮城が勝つだのな」
「そう言ってばかりでな」
「ヤクルト勝つなんて殆ど言わなかったよな」
シリーズが進みヤクルト有利になってもだった、ヤクルトが三勝してもだった。
「オリックス有利だって言って」
「殆どの人がヤクルト勝つって言わなかったな」
「はじまる前もそうで」
「第一戦の後なんか特に酷かったな」
「けれどヤクルト勝ったぞ」
「日本一になったぞ」
彼等はこの現実を話した。
「物凄い戦いだったけれどな」
「六戦のうち五戦が一点差で」
「残り一試合も二点差だった」
「死闘だったさ」
「けれど勝ったのはヤクルトだ」
「俺達の愛するチームなんだ」
スポーツの世界で勝者と敗者は必ず存在する、それは時として紙一重で決まるがそれでも勝者が栄光を手に入れることは明らかだ。
「このことは事実だ」
「何か日曜の朝ずっと巨人ヨイショしてる三千本安打の奴はずっとオリックスだったけれどな」
「ヤクルト全然褒めなかったな」
「けれど勝ったのは俺達だ」
その三千本安打を達成してもその業績に関わらずどのチ
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