第十三章
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先頭のオスナがセンター前ヒットで出塁し宮本丈が送りバントで進ませツーアウト二塁とした、ここで塩見がだった。
山本のボールをレフト前に打ち返した、オスナは懸命に走り遂に得点を果たした。
「見たか!絶対に無敵のピッチャーはいない!」
「何があっても打たれないピッチャーはいないんだ!」
「これで一点!」
「先制したぞ!」
ヤクルトナインもファンもこの一点に喜んだ、日本一が大きくたぐり寄せられる一打だった。だが勝利を手にすることは難しい。それが特に日本一のそれであるのなら。
その裏高梨は残念ながら一点を失った、ここでツーアウトランナー二塁となり高津は高梨を降板させて二番手にスアレスをマウンドに送った。
この時高津はスアレスに言った。
「思い切って投げろ」
「そうして宗を仕留める」
「お前なら大丈夫だ、宗はお前の敵じゃない」
バッターボックスにいる彼を見てスアレスに告げた。
「いいな、投げて来い」
「わかったよ、監督」
スアレスは高津の言葉に頷いた、そうしてだった。
彼は高津の期待に応えて宗を三振に打ち取り勝ち越しは許さなかった。後はヤクルトの反撃であったが。
必死に攻める、だがやはり日本一を決めるホームは遠かった。一点が欲しい、しかしその一点があまりにも遠かった。
そのまま九回を終えた、その裏だった。
オリックスは代打にジョーンズを送った、これまで二試合で九回での得点そして勝利の立役者となっている男だ。
その彼が出た、ここで多くのファンが顔を青くさせたが。
この時の彼は凡退だった、高津はそれを見てコーチ達に言った。
「これでマクガフは大丈夫だ」
「マクガフはずっとジョーンズにやられてますし」
「そのジョーンズはもう出ました」
「それで今凡退しましたしね」
「もうこれでマクガフは大丈夫だ」
彼はというのだ。
「無事にだ」
「抑えてくれますね」
「マウンドに送っても」
「そうしてくれますね」
「ジョーンズさえいなくなれば」
「もう大丈夫ですね」
「絶対に大丈夫だ」
高津はここでもこの言葉を出した、そうしてだった。
十回裏ツーアウトからマクガフを投入した、高津はマウンドに立った彼に言った。
「お前が最後だ、だからな」
「俺が胴上げ投手になるんだね」
「ああ、初戦で悔しい思いをしたがな」
そして第五戦でも負けたがというのだ。
「三戦と四戦はお前が抑えてくれた、そして今日はだ」
「俺が抑えて勝って」
「胴上げ投手だ、皆を日本一にしたいだろ」
「したい、最高のチームメイト達だから」
マクガフは高津に確かな顔と声で答えた、晩秋の夜の神戸は寒い。ここで野球をやるなぞ信じられない位だ。だがその中でだった。
マクガフは燃えていた、それはナイン達もベンチも同
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