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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
後日談 今日は
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あ、よく分からん」
「お前なんか大っ嫌いだ、顔も見たくない……。そう言いたかったのかな?」
「それは無いだろう」
本当は卿がそう思っているんじゃないか……。

「気分が良くない? 笑わせてもらった? かな……。直属の司令官にも忘れられている哀れな奴……。笑えるよな?」
「そんな事は無い、笑えないさ」
俺が否定するとビューローは生真面目な表情で頷いた。

「そうだよな、笑えないよな」
「……ビューロー」
「大爆笑してしまうもんな、大笑いだ」
そう言うとビューローは大声で笑い出した。いかん、ビューローはかなり自虐的になっている。

「そんな事は無いだろう、考え過ぎだ」
敢えて軽い調子で言ってみたが、ビューローには通じない。笑いを収めると目を据えて問いかけてきた。
「じゃあ、厄日か?」
「それも考え過ぎだ」
「……」

ビューローが唸り声をあげてグラスを睨んでいる。今度はブルドックだな……。
「なあ、ビューロー」
「うむ」
「俺達はちゃんと昇進しているし何処かに左遷されたわけでもない、そうだよな」
俺の言葉にビューローはちょっと間をおいてから頷いた。

「何か他の連中と比べてあからさまに差別されたわけでもない、そうだろう」
「うむ」
「俺達は公平に扱われていると思う。そんなに心配する事は無いんじゃないか」

ビューローは小首を傾げて考えこんでいる。まあ考え込むのも無理もないな、俺も納得していると言うよりはそう思いたがっている部分が強いのだ。司令長官を畏れるのは俺やビューローだけではない。若くして高い階級に有る人間の中にはヴァレンシュタイン司令長官を畏れる者が少なくない。

軍人としての資質に対してだけではなく自分以上に昇進の早い司令長官に不可思議なものを感じるのだろう。自分に自信が有る者ほどそういう傾向が有る。

司令長官の傍近くに居るワルトハイム達もその点では変わらない。普段側に居るからか彼らは司令長官の事を良く知っている。彼らは司令長官を尊敬しているし敬愛してもいるのだがその彼らでも時折畏れを抱くようだ……。

「……そうかもしれん、確かに差別はされていないだろう。……しかし俺達は疎まれているんじゃないかな」
いかんな、また元に戻った。

「バイエルラインだって補給基地には飛ばされなかったし、旧ローエングラム伯の艦隊も新たにシュトックハウゼン提督を司令官に迎えている、艦隊は解体されなかった」
「……」

バイエルラインはともかく旧ローエングラム伯の艦隊が解体されなかった事は皆が驚いた。司令官が反逆者として処断されたのだ。本来なら麾下の高級士官達は何らかの処分を受けてもおかしくは無かったと思う。俺だけでは無い、皆がそう思っていたはずだ。

例え処分が無くとも多少ポストで割を食
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