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アスカ 短編集
雨の日の日曜日は
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『・・・雨だ・・・』




『・・・雨ね・・・』




僕らは一本の傘を二人で持ちながら、コンフォート17のエントランスで呆然と立ち尽くしていた


外は想像以上のどしゃ降りで、とても傘一本で何とかなるような状況ではなかった




彼女は雨に濡れるのが大嫌いだった


理由はよくわからないけど、子供の頃に何か嫌な思い出があるとか言ってたような気がする


朝から雨模様だったりすると、そもそも学校にさえ行かない


天気予報で1%でも降水確率があるなら、必ずと言っていいほど傘を持って出かけた(実際に携行するのは僕だが)


夕立が来て靴に泥はねでもしたらもう大騒ぎ


どしゃ降りの時は、わざわざ徹夜明けでグロッキーのミサトさんを迎えに来させたりもしてたっけ(汗)


だから、雨の日の君には誰も近寄らなかった


僕以外はね


みんなの期待を一身に背負って、とばっちりを食うのは僕の役割だった


まぁ、いいけど


そんな君が、この雨の中を傘で出かけようというのだからわからない


しかも・・・二人で傘一本・・・・(汗)


女の子って本当によくわからない


まぁ、でも相々傘なんて僕も初めてだったし、悪い気はしない


というか、正直にいうととても嬉しい


でも、これはちょっと降りが激しすぎだった


5m先も見えないほどの土砂降り


さすがの君も、考え込んでいた


あんまりにも真剣に悩んでいる君が、何だかとても可愛かった





『や、やっぱりさ、やめようよ・・・僕がなにか作るからさ』


『う〜ん』と唸りながら、なおも考え込む君


『でも、いつもシンジばかりに探させて悪いもん・・・今日はアタシも手伝う♪』


ずいぶん殊勝なコトを言うなぁ・・・・まるでアスカじゃないみたい(笑)










『・・・ね、シンジ・・・』


『・・・なに?』


『・・・今日・・・何の日だか知ってた?』


『さぁ、どうだったかなあ?・・・確か日曜日だったような気がするけど・・・』


『・・・日曜日は当たり♪・・・でも、それだけじゃないの・・・・』


『・・・・君の・・・誕生日だろ?・・・15才の・・・・』


『・・・知ってたの?』


『・・・一応・・・プレゼントのつもりだったんだけど・・・あの紅茶・・・・』


『・・・あ・・・それで・・・!』



雨脚が・・・徐々に弱まり、それまで何も見えなかった目の前に、うっすらと物陰が姿を見せ始め
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