物は試し
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土のウィザード、その最も得意とする魔法である防壁魔法。
その向こうで、ウィザードは「ほらほら」と手を叩いた。
「これを壊せるほどの出力なら、ソロだって勘付くんじゃないかな?」
「うーん……分かりました。それじゃあ、結構本気で行くから、気を付けてね」
「ああ。よし、来いっ!」
「行きますッ!」
どっしりと構えるウィザードに対し、響は雷の大剣を振り上げた。
そして。
「我流・超雷電大剣ッ!」
雷鳴が、誰も見ることのない高架下に響いた。
「……こんなもので……」
ウィザードが張った土壁。
その一欠片を、ソロは拾い上げた。
「わざわざベルセルクの力を用いてまで、オレを呼び出したかったのか」
「まあね」
ボロボロのハルトは、ソロへニヤリと笑んだ。
「久しぶり。ソロ……」
「キサマ……ウィザード……それにランサー」
欠片を放り捨てたソロは、ため息をついた。
「敵であるキサマらと、何を話そうというんだ」
「アンタに色々と聞きたいことがある」
「……」
ソロは口を閉ざす。
動かない彼にハルトは続けた。
「響ちゃんから、八岐大蛇の話を聞いた。以前、アンタが荒魂の女の子……コヒメちゃんを狙ったのも、それに関係するんだろ」
「……キサマには関係のない話だ」
ソロは鼻を鳴らしながら、その端末を取り出す。
以前ハルトが博物館でも同じものを見た、電子端末。
古代のスターキャリアーと呼ばれるもの。その液晶が輝き、その中より灰色の怪物が出現した。
「……!?」
以前彼と対峙した時にはなかった、灰色の生命体。
ソロの隣に並ぶ、刃の手を持つそれは、その虚ろな目をハルトへ向けていた。
「……っ!」
「それより、キサマとは……キサマとランサーとは、今ここで……」
その時。
ハルトのスマホが鳴り出す。
張り詰めた緊張を断ち切るその音に、ソロは一時的に戦意を喪失した。
「……フン」
ソロは、顎で出ろと示す。
ハルトはソロから目を離さずに、スマホの画面を確認する。
すると、その画面には、衛藤可奈美の名前が表示されていた。
「可奈美ちゃん?」
『ハルトさん!』
そこに出てきたのは、張り詰めた声色の可奈美。
『美炎ちゃんが……コヒメちゃんの場所が分かったって……!』
「美炎ちゃんが? どうしていきなり……? 落ち着いて!」
『とにかく、早く来て! 場所は……あ、待って美炎ちゃん!』
可奈美との通話は、そこで途切れた。
ハルトは通話終了画面を見下ろしながら、唇を噛む。
「可奈美ちゃん……? 何があった?」
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