暁 〜小説投稿サイト〜
渦巻く滄海 紅き空 【下】
五十五 面影
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
るのはマズイ気がする。
嫌な予感を覚え、邪魔しようとカカシとヤマトは動き出す。


攻撃を仕掛けようとした二人は、しかし、目の前に立ちはだかった第三者に、立ち止まることを余儀なくされた。

「おおっと。もう俺の存在を忘れちまったのかよ?カカシ」


チョーカーが外れ、スッキリした面持ちで再不斬が首切り包丁を片手に、カカシとヤマトの行く手を阻む。身構えてもおらず、自然体で佇んではいるが、隙のない再不斬を突破するには骨が折れるのは間違いない。

歯痒くも足止めを食らうカカシとヤマトを相手にしても、決して大穴へは近づけさせない再不斬の強さをふたりは改めて思い知らされた。




大穴の前で仁王立ちし、カカシとヤマトを相手取る再不斬の背後。
波風ナルの【風遁・螺旋手裏剣】の直撃を受けた角都は、傍らに佇む気配を感じ取って、ようやく意識を取り戻した。

どうやら、ほんの数分ほど気を失っていたようだ。
指さえ動かせぬ我が身に、この身体のタイムリミットが近づいてきていることが角都にも理解できた。

うっすらと眼を開ける。
なんとかして眼球を動かし、捉えたその先に、白いフードを目深に被る相手の蒼い双眸が垣間見えた。
僅かに覗き見える金髪から、その存在が誰なのかすぐに思い当って、角都は苦笑を零す。


「……ざまぁねぇな…この俺があんな小娘に…」

初代火影と闘ったこともある角都にとって、このような事態は予想の範囲外だった。
己の不甲斐なさに自嘲する。
小娘という言葉に一瞬、ピクリ、とフードの陰で眉を顰めたナルトは、聊か棘のある言葉で切って捨てた。


「それで這い蹲ってるのなら世話がないな」
「……違いねえ…」


波風ナルの術で追い詰められた事実を噛み締め、苦い顔をしつつも否定を返さない角都を、ナルトは無言で見下ろした。


数百ナノメートルサイズという微小な刃状に形態変化した大量の風遁系のチャクラが螺旋丸の乱気流に巻き込まれる形で角都を切り刻んでいる。
同時に、忍としての生命線である細胞の経絡系を全て損傷させられ、まるで毒に侵されている状態だと一目で看破し、ナルトは内心、ここまでの術を編み出したナルを称賛した。


角都にも理解しているのだろう。この身体がもう忍びとして死んだも同然だと。
チラ、と一瞬、その眼球が、能面のひとつへ視線を奔らせた。

禁術である【地怨虞】。
他者の心臓を経絡系ごと取り込むことで、五つ全ての性質変化を扱うことが可能の術だ。

角都は己のものも併せて、五つの心臓をストックしている。その分裂体である能面の化け物は皆、カカシと再不斬、そしてナルの攻撃で倒されてしまった。


分裂体である能面。
その内のひとつに、ほんの一瞬、眼を向けた角都の隠
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ