第三章
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「釈放されることになったぞ」
「ああ、遂にか」
「ただ禁治産者になって親権は放棄させられてな」
「何もなくなったんだな」
「旦那の方は仕事は懲戒免職になることが決定した」
「何もかも失ったんだな、あの二人」
「ふわりを捨てて上の娘をほったらかしにしてな」
その因果が巡ってというのだ。
「そうなった、しかしな」
「しかし?」
「まだ残ってるものがある、それで親戚全員で話をしたんだがな」
「どうするんだよ」
「今度の休み、二人が家に戻る直前に二人の家に行くぞ」
こう息子に告げた。
「それで親戚全員でやることがあるぞ」
「何するんだよ」
「あいつ等にとっていらないものを全部なくしてやるんだ」
「いらないもの?」
「その時にわかる、屑には何の容赦もするなってな」
その様にというのだ。
「本家さんも言ったからな」
「それでか」
「やることにした、だからお前もな」
洋介もというのだ。
「その時仕事でも時間貰ってな」
「あの二人の家に行けばいいか」
「ああ、わかったな」
「それじゃあな」
洋介は父の言葉に頷いた、そうしてだった。
彼は夕食を食べた、湯豆腐と鯖の煮つけという献立であった。それでご飯を食べながらまたふわりを見た。
そしてだ、父に食べながら言った。
「あの二人もふわりをおもちゃみたいに思わず口で言ってる通りに娘だってずっと思ってたらな」
「思う様だったらああはなっていないしこれからもな」
「俺達に容赦されないんだな」
「自分達の子供と言っていた相手を捨てるなんてな」
「人間じゃないか」
「餓鬼だ、そして餓鬼にはな」
そこまで堕ちた存在にはというのだ。
「一切だ」
「容赦したら駄目か」
「とことん浅ましく卑しい存在だからな」
「慈悲とか無用か」
「そうなった経緯を考えるとな」
「だからあの二人にもか」
「そうする、だから来い」
こう自分達の息子に言った、そのうえで牡蠣の種とピーナッツを食べながらストロングを飲んだ。そして彼もふわりを見るがふわりは今も幸せそうに寝ていた。もう彼等にいらないものと言われた頃の悲しみは何処にもなかった。
また会えるから 完
2021・12・23
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