01 プロローグ 濱乃の憂鬱
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婆様の言いつけは守らなければならない・・・でも、
御婆様の言った言葉の意味を早く理解し、そして一刻も早く帰らなければならない
ふと、濱乃は思う。
自身を取り巻く退屈で辛いだけの日常と
目の前で繰り広げられる艦娘たちの饗宴とを見比べ、大きなため息をついた。
そして、どうしようもなく絶望した。
「・・・関係ない・・・・濱乃には、関係のない事です・・・」
それは、とても7歳の少女とは思えない、全てを諦めきった老女のような、絶望的な深い諦念であった。
と同時に、胸がキュッと締め付けられて痛くなる
「・・もういやだ・・」
辛くて辛くて堪らなくなった時、濱乃はいつも思う
《・・・お母さんに・・・逢いたい・・・・・》
まだしあわせだった頃の記憶の断片を、心の中で手繰り寄せる
あの頃は、まだおとうさんとおかあさんがいて、いっぱい甘えて、いっぱい抱っこしてもらって・・・
いっぱい撫でてもらって、そして・・・
ふと我に返る
もう何度となくこのやり取りを際限なく繰り返していた
華やかな艦娘たちの饗宴を目の当たりにしてさえ、少女はつい、「鬱」向いてしまう・・・
「・・・ぜさん?」
そんな事をぼんやりと考えていると、誰かの・・・声が聞こえたような気がした
「・まかぜさん?」
「・・・・え・・?」
「浜風さん?・・・ですよね?」
目の前に一人の女性が眼鏡の縁に右手を添えながら話しかけていたのに気付く
「・・・・・浜風?」
・・・ああ・・・そう・・だった・・・・・
・・・出掛けに、御婆様が言っていた・・・・・・
《今日からお前の名は「浜風」です。厨房では、今まで通り「濱乃」で通しなさい。いいですね》
《・・・え・・?・・・濱乃は・・・濱乃だよ?・・おばあさま?》
《余計な事は考えなくてもよろしい・・・もう決まった事です。いいですね》
《・・・は・・い・・・・おばあさま・・・・》
「・・・・はい、浜風・・・今日から・・・浜風?・・・です・・・」
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