第九章「思い出」
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て芳子はクローラー車から降り、遥を迎えた。
芳子「遥?遥じゃないの?」
遥は泣き腫らしていた。
泣きすぎたせいで記憶を失っており、母親だとわからなかった。
遥「え・・・?誰・・・?誰なの・・・?」
芳子「私よ!お母さんよ!」
遥「え?私に言ってるの・・・?
なんで、あなたが私のお母さん・・・?」
芳子は家族写真を娘の遥に見せながら説得させた。
芳子「当たり前よ!家族で撮った写真を思い出しなさい?
それを見たらわかるでしょ?」
遥「あっ・・・!ああぁぁ・・・。」
そして、家族写真を見て意識を失った遥の脳裏には
自分の今までの記憶が蘇っていく・・・。
その記憶は赤ちゃん時代から始まった。
天井を見て回転するモビールに
母に来て欲しいと泣く遥に
母の芳子が顔を覗いて
自分を呼び掛けて高い高いされた記憶。
ハイハイして、両親のもとに向かった記憶。
1歳になって自分で立てるようになった記憶。
父の信介と公園で歩く練習をした記憶。
そして、自分で言葉も話せるようになった記憶。
初めて友達ができた記憶。
3歳になって父親に家を新築してもらった記憶、
幼稚園に入園した記憶。
自分が風邪をひいてしまい幼稚園を休んで
仕事から帰って来た父親に
病院に連れてってもらった記憶。
年中の頃に、弟の遼真が生まれた記憶。
年長になり、まだ赤ちゃんだった遼真と遊んだ記憶。
小学校に入学した記憶。
家族で初めてキャンプに行った記憶。
緊急事態宣言に伴う外出自粛で友達に会えなくなった記憶。
家族揃ってテレビで東京オリンピックを観戦した記憶。
運動会の徒競走で1位を取った記憶。
参観日に作文を発表した記憶。
家族で夏祭りに言った記憶。
小学校の修学旅行で箱根に言った記憶。
小学校を卒業した事。
中学校に進学した事。
授業中に窓の方見て燕が飛んでる様子を見たり、
友達と話し合ったり、手芸部に入部して編み物を作ったり、
部活で帰りが遅くなって、日が暮れる中、
寂しく一人でトボトボ家に帰った。
そして帰宅後のリビングには母の芳子と弟の遼真がいた。
そして、仕事から帰宅した父の信介に、弟の遼真と共に抱かれた。
そして、家族みんなで晩御飯に、
すきやき鍋を食べながら楽しい夜を過ごした。
でも、遼真と芳子と信介がいるだけで、
笑顔になれたり、幸せを感じる、そんな家族の風景。
そして記憶の中に、平井家の長女が自分にしてくれたことで
夏休みに家族みんなで高尾山に登山しに行った記憶だった。
回想が終わり、現実に戻った遥は号泣した。
芳子「遥、私がお母さんだとわかる?」
そして、母親の芳子の問いに、抱き着きながら答えるのだった。
遥「あぁ・・・あああ!・・
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