第二章
[8]前話
置きものは女の頭を直撃した、これで女は気絶して倒れた。
「死んだのかしら」
「気絶してるんじゃない?けれど死んでも正当防衛になるわよね」
亜美は気絶した女を見つつ祖母に応えた。
「家に入って来て窓ガラス割ってね」
「亜美ちゃんに襲い掛かってきたから」
「絶対にそうよ、今のうちに縛って警察呼ぼう」
「そして事情お話して」
「警察に突き出そう」
「それがいいわね」
祖母は孫娘の言葉に頷いた、そうしてだった。
実際にそうした、その後で亜美は警察から事情を聞いたが。
「あの人隣の区の学校の先生で逵本喜世美っていうらしいわ」
「学校の先生なの」
「旦那さんも学校の先生で高校で働いているらしいけれど」
「その旦那さんがなの」
「ええ、それがね」
亜美は祖母に眉を顰めさせて話した。
「生徒と不倫して」
「それでなの」
「それがご近所の人だったらしくて」
「うちと間違えてなの」
「来たらしいわ」
「そうだったのね」
「それで調べたら元々あの人過激派出身で」
彼女が言っていた通りにというのだ。
「おかしな組合やそうした人達とね」
「お付き合いあるの」
「そうした人らしいわ」
「そうだったのね」
「お家探したら変なもの一杯見付かったらしいわ」
警察が取り調べの中でそうしたならというのだ。
「かなり胡散臭い人だったみたい」
「そんな人だったの」
「ええ、それであの人逮捕されてクビになってね」
そうなってというのだ、尚気絶したが命に別状はなく後遺症もないとのことだった。当然亜美達は正当防衛を認められ罪には問われなかった。
「ご主人も生徒に手を出してね」
「不倫なんてしていることがわかって」
「やっぱりね」
「クビになったのね」
「そうみたいよ、けれどね」
亜美はぼやいて言った。
「窓ガラスの修理費や他の慰謝料とかは出てね」
「窓は元に戻ったけれど」
「あんなことは二度と御免よ」
「そうよね、いきなり来て襲われるなんてね」
「それも勘違いでね」
それでというのだ。
「襲われるなんてよ」
「もう二度と御免ね」
「全くよ、本当に災難だったわ。それにね」
亜美は祖母にこうも言った。
「勘違いでもああした目に遭うなら不倫なんてね」
「そうよ、不倫はしたら駄目よ」
祖母もそれはと答えた。
「怖いことになるから」
「そうね、絶対にしないわ」
「人間真面目が一番よ」
「本当にそうね」
亜美は今回のことでよくわかった、それで実際に彼女は人生において不倫はしなかった。そして過激派等胡散臭い面々とも関わらなかった。その経験からそうしたのだった。
いきなり家に来られて 完
2021・12・22
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