第三章
[8]前話
「それならです」
「消せばいいんですね」
「はい、誰かにお話して」
「そうですか」
「命や誰かの大切なものは消してはいけないですが」
「こうしたことはですね」
「そうです、決してです」
そうしてというのだ。
「苦しみから逃れればいいです」
「そうなんですね」
「ずっと苦しむよりも」
これまでの靖奈の様にというのだ。
「こうしてです」
「消せばいいんですね」
「そうです、ではこれからは」
「はい、痣のことはですね」
「気にしないで生きられますね」
「ずっといつも気にしていました」
物心ついてからだった実際に。
「本当に」
「ですがそれがなくなったので」
「これで、ですね」
「これからはです」
「はい、安心して生きていけます」
「前向きにそうしていって下さいね」
桃花は笑顔でこう告げた、そしてだった。
靖奈はもう背中を気にすることはなくなった、前向きに生きることが出来た。ずっと気にしているものがなくなったので。
そしてだ、両親に言った。
「私も他の人の気にしていることをね」
「消していきたいか」
「そうしていきたいのね」
「うん、あの人みたいになりたいわ」
「そうか、それじゃあな」
「あの人みたいになる様に頑張ってね」
「私お医者さんになるわ」
靖奈は今誓った、自分自身に。
「そしてね」
「あの人が靖奈にしてくれたみたいにだな」
「痣を消してあげるのね」
「痣も傷もね」
その人が気にしているものをというのだ。
「そうしていくわ」
「わかった、それなら目指すんだ」
「靖奈も人を助けられる人になってね」
「そうなるわ」
また自分に約束した、そうしてだった。
靖奈はこの日から猛勉強をはじめて医師を目指した、そして実際に医師になり桃花と同じ様に人の痣や傷跡といったその人が気にしているものを消して救っていった。痣を消してもらった彼女がそうなった。
そんなものはどうでもなる 完
2021・12・22
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