第一章
[2]次話
違う絵を描く子供
白石菊江は幼稚園の先生をしている、小学校や中学校の教員免許も持っているがそこに合格して子供も好きだったのでそちらに就職した。
赤く長い髪の毛でメリハリの利いたスタイルと一六八センチの長身、きりっとしていて彫のある顔立ちであり幼稚園の先生としてはかなり目立っている。趣味はドライブとフラメンコダンスでまだ独身だ。
その彼女がだった。
子供達に絵を描かせていると一人の少女山田美里黒髪をおかっぱにして右側を髷にしている小柄であどけない顔立ちの彼女がだった。
他の子達と同じくクレヨンで自分の両親を描いていたが。
顔は大きいのは子供の絵だった、だが。
どの絵も左右非対称で目の位置も大きさも違っている、それでだった。
菊江は美里に驚いて尋ねた。
「あの、山田さんちょっといい?」
「何ですか?」
「その絵何処かで聞いて描いたの?」
ピカソを思わせるその絵を見て彼女に問うた。
「そうなの?」
「聞いてって誰にですか?」
「お父さんやお母さんからよ。ピカソって知ってる?」
本当にそうした感じなので尋ねた。
「この人」
「誰ですか?」
これが美里の返答だった。
「知らないです」
「そうなの」
「はい、このまま描いていいですか?」
「いいわよ」
菊江はまずはこう答えた、だが。
ここで美里のこれまで描いた絵を見るとだった。
人を描くとピカソだった、しかも。
思う様に描かせると太陽の場所に林檎があったり三日月が真っ青だったりしてだ。菊江はそういった彼女の絵を観てだった。
保育園の園長である原伸輝五十代で白いものが多くなっている髪の毛を清潔にセットしている穏やかな顔に四角い眼鏡をかけている一七〇程の背のダンディな服装で痩せた彼に美里の絵を見せて尋ねた。これは彼が美術の教員免許を持っているからだ。
「この絵どう思いますか?」
「これ子供が描いたのかい?」
「はい、山田さんが」
美里がというのだ。
「そうです」
「どれも凄いね、これはね」
「才能がありますか」
「その可能性があるよ」
原は菊江に絵を観つつ自分の見立てを率直に述べた。
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