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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
負けず嫌い
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ね」
「いいピッチャーなら特にね」

打席に向かう二人の少女たちは互いに顔を見合わせニヤリと笑う。ベンチにいる少女たちも楽しみになったようで、至るところから声が出ていた。

「ボールバック!!」

瑞姫にボールを返しながらメンバーに聞こえるように指示を出す莉愛。それを受けショートの明里がベースに入る。それを確認してから瑞姫は最後の投球を行い、莉愛がセカンドへのスローイングを行った。

(ストレートもなかなか速いな。これなら実績があるのも頷ける)

右打席に入りながら足場を慣らす少女。彼女はマウンド上の瑞姫を見た直後、背中側から視線を感じそちらへ顔を向けた。

「うわ……めっちゃ見てるじゃん」

サードから打者である彼女をじっと見ている赤髪の少女。その視線があまりにも力が入っており、彼女は苦笑いを浮かべながら構えに入った。

(U-18の渡辺だよね?やっぱり明宝はいい選手がいるんだな)

全国にこそ出てこれないが激戦区東京で上位に入り続けている相手校の情報は少しずつではあるが入ってくる。ただ初めて相対する選手に関してはほとんどデータはないため……

(初球は見ていこうか)

トップバッターとしての役目を果たすことを最優先とした少女。それを見越してなのか、一年生バッテリーは真ん中のストレートから入ってきた。

(えぇ……そんなに打ち気なく見えたかな?)

見送る気配は消していたはずだったが見抜かれていたらしくストライクを一つ献上する形になった彼女は構え直す。そんな彼女に対しての二球目。

(遠っ……)

外へのストレート。際どいところだったが外れてボール。

(追い込む前に試しておけって莉子さんが言ってたっけ?)

試合前に先輩捕手である少女から指示を受けていた莉愛は早速その球種のサインを出す。それを受けた瑞姫は目を細めたが、すぐに頷きモーションに入った。

(明宝のピッチャー顔によく出るよね)

互いに実力校とあってか何度も対戦をしている彼女たち。その際に何人もの投手を互いに見てきているのだが、表情が変わりやすい栞里や優愛を見ているせいか、瑞姫の顔色が変わったことにもすぐに気が付いた。

(たぶん変化球。入ってたら振っていく)

彼女から手から離れたボールは真ん中付近に向かってくる。そのボールを見て失投と思いスイングを開始した途端、地面に吸い寄せられるように急降下していく。

(フォーク!?)

カットしようと軌道修正するが間に合わずあえなく空振り。しかしそのボールは……

バスッ

「ありゃ」

莉愛が弾いて後方へと逸らしてしまう。

「はい、ボール」
「ありがとうございます」

パスボールになる状況ではなかったため球審からボールを渡され瑞姫
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