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レーヴァティン
第二百三十二話 北の端までその七
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「いいことだ」
「左様ですね」
「皆様万全です」
「素晴らしい戦ぶりです」
「お聞きしていて惚れ惚れします」
「全くだ、俺も何よりだ」
 顔も声も笑っていないがそれでも心の中で喜んでいてこう言うのだった。
「非常にな」
「はい、上様とあの方々の絆は素晴らしいですね」
「お互いに認め合い褒め合う」
「素晴らしいものですね」
「そう思ってくれるなら何よりだ、だが人は難しい」
 英雄は深刻な色の言葉も出した。
「他の者の功や名声が妬ましく思う時もあるな」
「はい、確かに」
「それで名を挙げて知られる」
「天下にそうなることを」
「己の座を脅かすのではと思うこともある、蕭何もだ」
 先日話した彼もというのだ。
「実は皇帝となった後の劉邦に警戒された」
「その功故にですか」
「そしてその功を果たして力故に」
「それで、ですか」
「劉邦はそれまでも功臣を粛清していた」 
 韓信、黥布、彭越達だ。この三人はそれぞれ大きな武勲を挙げた。そして広大な領土を与えられたがそれ故に劉邦に警戒されたのだ。
「そしてだ」
「蕭何もですか」
「最大の功臣の彼も」
「そうでしたか」
「劉邦は皇帝になってから変わった」
 このことは史記にも書かれている。
「それまで器が大きかったが」
「皇帝となってからはですか」
「その性格が変わったのですか」
「そうだったのですか」
「猜疑心が大きくなった」
 それも非常にだ。
「そして功臣達を粛清してだ」
「最大の功臣となった蕭何もですか」
「彼も疑いですか」
「粛清しようとしましたか」
「流石に周りも止めたが」 
 蕭何の粛清だけはだ、漢建国の最大の功臣であり相国として国の柱となっている彼は失えないからだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「劉邦の猜疑心は止まらなかった」
「そうなのですね」
「かろうじて蕭何は逃れられたが」
 劉邦のその猜疑心からだ。
「危うかった」
「下手をすると粛清されていましたね」
「蕭何もまた」
「そうだったのですね」
「張良も逃れた」
 元々仙人になることが夢で隠棲したが粛清が酷くなることを恐れてそうした一面もあるという。
「それならばだ」
「蕭何もですね」
「どうなっていたかわからず」
「事実危うかった」
「そうでしたか」
「こちらの世界と俺達が起きた時の世界は全く違うがな」
 歴史も人もだ。
「俺達の世界ではそうだ」
「蕭何にそうしたことがあったとは」
「あの神に」
「そうだとは思いませんでした」
「主に疑われていたとは」
「皇帝になってからの劉邦は評判が悪い」
 その為横山光輝という偉大な漫画家は彼が項羽に勝つまでを描いてから皇帝になってからの劉邦は描きたくないと後書きで書いている位
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