本当に怖いこと
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口として清香に牙を剥いている。
「コヒメちゃん!」
あの技が来る。
それを察知した清香は、コヒメを突き飛ばす。
同時に御刀から、再度写シの力を引き出す。
が、それと同時に。
「トレラアルティガイザー」
放たれた、漆黒の雷。
それは、迷うことなく清香の体を貫いていく。
「がはッ!」
想像を絶する痛み。全身を見えないアイアンメイデンが閉じ込めたかと錯覚する衝撃が、写シの霊体を貫き、さらにはその生身までも痛みを走らせた。
これまでにない勢いで、写シが掻き消される。同時に生身となった清香は、道路へ投げ出された。
「あ……っ!」
突き飛ばされた背中が、ガードレールをひしゃげる。清香の口から血反吐が吐き出され、意識が薄れる。
「きよか!」
コヒメは悲鳴をあげながら、清香に駆け寄る。
だが、その前には闇の仮面が立ちふさがった。
「さあ? 一緒に行こうか? 荒魂ちゃん」
トレギアはコヒメの肩を掴み、無理矢理引き寄せる。すぐさま首を締め上げ、コヒメは抵抗虚しくトレギアから離れられない。
「やめて……! 放して!」
「まさか、こんなところで目的の鍵が手に入るとはね……これは、彼も驚くだろう」
「待って! コヒメちゃん……!」
清香は、コヒメへ手を伸ばす。
だが、トレギアはそんな清香など無視しながら、コヒメの首根っこを掴まえた。
「いや!」
もがくコヒメだが、トレギアには通用しない。片手で軽々と持ち上げるトレギアは、コヒメを嘲笑うように指を回す。
「安心したまえ。この見滝原にいる限り、彼女の使い道は君にもすぐ分かるさ。さあ、行こうか」
「嫌だ! 助けてきよか! みほの!」
コヒメの悲痛な悲鳴。
清香はまだ手を伸ばすものの、やがてトレギアの体は、コヒメとともに蒼い闇に包まれていく。
やがて、その闇が消失するのと時を同じくして、清香は意識を手放した。
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