本当に怖いこと
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だが。
「おっと。見捨てるなんて酷いじゃないか。荒魂ちゃん」
トレギアの闇の雷。それが、あたかも鞭のようにコヒメを縛り上げていく。
「やめて! 放して!」
「ダメに決まってるだろう? 少しの間、大人しくしてもらおうか」
やがて、清香から足を外したトレギアが、コヒメへ手を伸ばす。
そのまま縛られたコヒメの首を掴み上げ、そのまま連れ帰ろうとしているようだった。
だが。
「おやおや……まだ戦うのかい?」
トレギアは嘲笑する。
彼はすでに、清香など眼中にないのだろう。
だがそれでも、清香は立ち上がる。
「はあ、はあ……」
痛めつけられた体は、もはや万全とは程遠い。だが。
「友達を守るのは、当然です!」
そう言って、清香はトレギアへ立ち向かう。
だが、片手をコヒメで埋まっているという状況ながら、トレギアは余裕を崩すことはない。
「あんまり無理はしない方がいいよ? これ以上戦うと、体に悪いんじゃないかな?」
「コヒメちゃんは、友達だから……! だから、絶対に渡さない!」
「まあ、頑張ってくれ。もっとも、君のようなザコは、もう終わりだろうけどね」
そう言って、トレギアの背後には闇が浮かび上がる。
見るだけで奥行きを感じさせるそれ。それが、転移やその類の能力を持つのだろうということは容易に想像できた。
「逃がしません!」
清香は自らを奮い立て、トレギアの頭上を飛び越える。
「これ以上の……役立たずは……もう嫌なんです!」
清香は、その声とともにその体を独楽のように回転させる。
「破邪顕正の剣!」
緑の光が幾重にも重なり、トレギアを周囲の空間、その闇ごと切り裂いていく。
トレギアが呼び出した、移動用の闇は消失。だが、腕を覆ったトレギアに、それほどのダメージはなかった。
「おや? 何だい今のは……?」
トレギアは、今清香に斬られた一か所を振り払う。
「たかが一撃じゃないか。大したこともない……」
だが。
「ぐあっ!」
とうとうトレギアが痛みを吐露した。彼はコヒメを手放し、さらに落下するコヒメを清香が抱きかかえる。
即座にトレギアから離れ、コヒメを下がらせる。
「中々やるじゃないか……まあ、まだ私には及ばないようだがねえ」
トレギアは、今の攻撃さえも鼻で笑う。
だが。
「うっ……!」
その痛みが、きっとトレギアを襲ったことだろう。
そして。
破邪顕正の剣。それは、時間差の攻撃。
トレギアを襲う、無数の斬撃。それは、コヒメを手放したトレギアを爆発させた。
「……ちぃ……!」
崩れ落ちるトレギア。
「戦うことは、今で
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