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俺様勇者と武闘家日記
第2部
テドン
新たな目的地
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に積極的だったのよ。そのときに噂になってたのが、ランシールにある『地球のへそ』という修行場だったわ」
 カリーナさんが当時の巡礼者や旅人に聞いた話によると、ここから南東にある大陸に、ランシールという町がある。そこには古くから建てられた大きな神殿があり、その神殿に仕える神官に認められた冒険者は、地球のへそと呼ばれる修行場に挑戦できると言われているらしい。
 その修行場をクリアした者は、ここ数十年一人もおらず(カリーナさんが話を聞いた当時)、あのサイモンさんでさえも、到達できなかったそうだ。
「サイモンでもクリアできなかったと言われる修行場か……。興味深いな」
 ユウリが即座に目を輝かせる。
「ねえ、私もその修行場に行ってみたい!」
「そうだな。お前もいつまでも足手まといのままじゃ、ザルウサギたちに置いてかれるもんな」
「う……否定できない……」
「俺もその修行場とやらが気になる。最後の鍵を手に入れたらランシールに向かうぞ」
「うん!」
 どこか吹っ切れた様子で次の目的地を宣言したユウリの言葉に対し、私は弾むように返事をした。
 その後食事と出立の準備を済ませ、私たちはカリーナさんに別れの挨拶をすることにした。カリーナさんはもっとゆっくりしていけばいいのに、と名残惜しそうにしていたが、どことなく出立を急ぐユウリの様子を見て、これ以上は何も言わなかった。
「どうもお世話になりました」
「こちらこそ、久しぶりに人と会えて楽しかったわ。また寄る機会があったらいらしてね」
「はい、ありがとうございます。ぜひまた、伺わせてください」
 私が挨拶すると、カリーナさんは笑顔で返した。
「あ、そうそう。ユウリさん。もしかしたら必要なときが来るかもしれないから、これを持っていって」
 そう言って渡されたのは、預言の書かれてある紙が入っていたランプだ。
「わざわざこの中に預言を書いた紙を入れたのなら、きっとこのランプにも意味があると思うわ」
「……確かに、一理あるな」
 ユウリは素直に頷くと、ランプを鞄の中にしまった。
「世話になった。落ち着いたら、またあんたの作ったスープを食べにくる」
「ふふ。今度ユウリさんたちが来た時までに、もっとおいしいスープを作れるように頑張るわ」
 少し照れくさそうに言うユウリを、笑顔で返すカリーナさん。
 テドンの町では陰鬱な気持ちになったが、カリーナさんと出会えて、心が救われたのは間違いない。私たちはもう一度カリーナさんにお礼を言い、いつまでも手を振るカリーナさんに見送られながら、出発した。



 昨日のような天気の崩れもなく、雲一つない快晴の空の下、私たちはテドンを出た時よりも軽い足取りで船着き場を目指した。
 途中出くわした魔物の群れを難なく一掃し、帰路を急ぐ。
 やがて街道の先に、見
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