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俺様勇者と武闘家日記
第2部
テドン
新たな目的地
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よければ、礼拝堂に行ってお祈りしていってね」
 キッチンへと向かうやいなや、カリーナさんは手際よく野菜を切り始めた。
 こんなに気持ちのいい朝を迎えられたんだ、カリーナさんの言うとおり、お祈りでもしようかな。
 すぐに決断した私は、そのまま礼拝堂へと向かうことにした。
「あっ、おはよう。ユウリもお祈りしに来たの?」
 礼拝堂には、いつの間に起きたのか、身支度を整えたユウリが先に来ていた。まだ起きて間もないのか、少し眠そうな顔をしている。
「俺としたことが……。寝坊女より遅く起きるとはな」
 なんかまた新たなあだ名がつけられた。そんなあからさまにため息をつかれても困るのだが。
「きっとまだ疲れが取れてないんだよ。もう少し休めば?」
「いや、まだ朝の鍛錬を行っていない」
 そう言うと、ユウリはさっさと外に出て行ってしまった。本調子ではないのだから少しは休めばいいのに。
 お祈りを終え、再びキッチンに戻ると、すでにテーブルにはおいしそうな食事が所狭しと並んでいた。
「うわあ、おいしそう!!」
「久しぶりのお客さんだから、ついはりきっちゃったわ。たくさん食べてね」
 カブのミルクスープに、ホウレンソウと卵のココット。自家製パンの上に乗っているのは、暖炉で炙ってとろとろになったヤギの乳のチーズ。これらを眺めるだけでも、十分お腹いっぱいになりそうだ。
「ありがとうございます!今、ユウリを呼んできます!」
 私は待ちきれず、飛び出すように外に出た。これから鍛錬を始めようとしているユウリを半ば強引に呼び出し、みんな揃って食卓に着く。
 トレーニング後で空腹感が最高潮だった私は、食事前のお祈りでさえ、待ち遠しく感じた。
「いただきまーす!!」
 満面の笑みでパンを頬張る私を、カリーナさんはニコニコしながら眺め、ユウリは慣れたのか、このいつもの光景に別段気にも留めず、黙々と食べている。
 あっという間に食べ終わり、満腹感と幸福感に満たされたころ。
「ユウリさんもミオさんも、朝からトレーニングなんて、ずいぶん熱心なのね」
 そうカリーナさんに話しかけられ、今朝のトレーニングのことを思い出す。
「イグノー様も、魔王軍から逃れて大けがを負っていたけれど、傷も治らないうちに必死でトレーニングをしていたわ」
「魔王を相手にするからな。それくらいは当然だ」
 毎日行っているユウリが、こともなげに言う。私も最近は毎日やってるようにはしてるけど、それでも彼は私の三、四倍の量の鍛錬を行っている。見習わなくちゃとは思うけど、どうしても朝が起きられない。
「そういえば、あなたたち、ランシールにある修行場は知ってるのかしら?」
「ランシール? 地名だけは聞いたことがあるが……」
「サイモン様たちが魔王討伐に乗り出した時は、他の冒険者たちも魔王討伐
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