第2部
テドン
新たな目的地
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夕食後、カリーナさんに案内された来客用の部屋を借り、私とユウリはそれぞれ別の部屋で寝た。
そして翌日。長かった一日が終わり、私は夜明けごろに目が覚めた。だが空は分厚い雲に覆われており、太陽が出てきてもまるで夜のように薄暗い。そんな鬱々とした空を見ているうちに、なぜだか無性に体を動かしたくなった。
部屋を出ると、家の中は薄暗く、カリーナさんも起きていないようだ。
静かに玄関のドアを開けると、外は霧がうっすらと広がっていた。いつも朝早いユウリもいない。やはりまだ本調子ではないのだろう。
じっとりとした湿気に多少体の重さを感じながらも、私は一人トレーニングを始めることにした。
「あら、おはよう、ミオさん。随分と早いのね」
しばらくたって体がようやくあったまってきた頃だろうか。振り向くと、背中に大きなかごを背負ったカリーナさんがこちらに向かって挨拶をしてきた。
「おはようございます、カリーナさん」
「朝から熱心ね。疲れはとれたかしら?」
「ええ、おかげさまで!」
ふと空に目を向けると、太陽が完全に顔を出し、いつのまにか霧は晴れていた。薄くたなびく雲の切れ目から、黄金色の光が私とカリーナさんの姿を目映く照らす。
「カリーナさんこそ、こんな朝早くどちらへ?」
「私はこれから、畑に行って朝食の食材を取りに行くところよ」
そう言うと、カリーナさんはとある茂みの向こうを指差した。
「へえ! 今は何が採れるんですか?」
畑に興味を示した私は、つい興奮ぎみに尋ねる。カザーブの実家でもいろんな作物を作っていたので、畑仕事自体は嫌いではない。それに、他の人がどういう作物を育てているのかも気になる。
「そうね、今はホウレンソウとか、カブかしら。あと飼ってる鶏の卵も採りに行かなきゃ。そうそう、朝食にカブのスープを作ろうと思ってるけど、どうかしら?」
「うわぁ、おいしそう!」
夕べの食事もとてもおいしかった。手伝いをしながら気づいたが、カリーナさんは丁寧で、とても料理上手だというのがわかる。
「もしよければ、収穫のお手伝いをしてもいいですか?」
「それは助かるけれど……。ミオさんもやることがあるんだし、無理しないでいいのよ?」
「いえ、トレーニングならいつでもできますから。それに畑仕事は慣れてますし」
「なら、お言葉に甘えてお願いしようかしら」
カリーナさんは笑顔を向けると、茂みの奥にある畑へと案内してくれた。
この辺りだけ木を切り拓いたのか、日当たりもよく開けた場所になっている。畑には野菜や果物だけでなく、自作の囲いがいくつも設けてあり、中に鶏やヤギが放ってあった。
野菜と卵の収穫後、さらにヤギの乳を搾り、カリーナさんと二人、上機嫌で家へと戻る。
「ありがとう、ミオさん。あとはゆっくりしてて。あっ、それと、もし
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