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幻の月は空に輝く
課外授業に行こう・3
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に死にたいのか」
「は? 誰が格下に殺られんだよ」

「「……」」

 睨みあう様にしながら互いの沈黙が重なるんだけどね。


「身の程知らずがっ」


「こっちの台詞だぜっ」


 二人とも短気だよね。
 それに台詞だけ聞いてると、とても六歳児の会話とは思えない。
 見た目はちんまりとしてるのに、身体から発してるチャクラは大人顔負けの迫力。離れてるはずの私にまで圧力が届く。私が普通の子供だったら、二人が放つ殺気だけで気が狂えるかも。ビリビリと肌に突き刺さるような痛みは、父さんと手合わせする時に感じるものに似てる。
 ……思えば、父さんの修行も容赦がないのかもしれない。
 

《ラン》

「――…あぁ」

 脱線しかけた思考を、テンの声が呼び戻す。
 その直後、我愛羅の完全憑依体。そして狸寝入りの術が発動した。ナルトが挑発したっていうのもあるだろうけど、この前に人の血を見ていた我愛羅は既に、正常な意識を失い始めてたのかもしれない。
 
《ひゃっはァ〜!!!》

 我愛羅の意識が沈むと同時に、妙にテンションの高い守鶴が姿を現した。流石尾獣。こうして自分の眼で見てみると、その大きさに圧倒される。

「――ッ」

 それと同時に、結界を構成している絃が切れた。守鶴が現れた衝撃に、予想以上に持っていかれたらしい。
 何千本のうち、切れたのは百本ぐらいかな。使っている私ですら構造が分からない不思議なブレスレットから、チャクラを流し込みながら無色透明の絃を取り出す。

「風遁――彩風(アヤカジ)

 無色透明の絃は、外の世界のありとあらゆる色を取り込む。
 光を取り込んだ絃が乱反射して光を放つのは幻想的なんだけど、今はのんびりと見学してる時間はない。
 風遁で操った絃で結界の補強を済ませると、さっきから耳障りな程高笑いをしている守鶴をじっくりと視界に納めた。

《今回の獲物はちぃせぇなぁっ。ぶち殺してやるけどな〜〜〜》

 どうやらナルトを獲物だと認定したらしい。
 しかし、声が大きいね。そろそろ鼓膜が痛いんだけど、ナルトはもっと痛いんだろうなぁ。そう思ってたら、微かにナルトの身体が震えてる。

《震えて弱っちいな人間はよ〜!!》

 守鶴も気付いたらしく、態々につっ込んでくる。別に恐怖で震えているわけじゃないと思うんだけどね。

「うるせぇ……っつーかマジでうるせぇちったぁ黙れ。その口を閉じろ三下アホ狸がッッッ!!!」

 ……切れた。自分で守鶴を呼び出させたのに、予想以上に大きな声にナルトがあっさりと切れる。

《三下だと!? 人間如きがァ!!》

 それに守鶴も切れる。
 だからなんでこんなに短気な人たちが多いんだろう。守鶴は人じゃないけど。


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