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困った許嫁
第六章
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「将来はね」
「夫婦になるから」
「だからね」
 それでというのだ。
「言ってね」
「じゃあそうするね」
「夫婦はお互いを信じて」
「お互いの言うことを聞くものだね」
「そうしたものだと思うから」
「僕に言ってきたんだね」
「言うことを聞きなさいって」
 その様にというのだ。
「そうね」
「それじゃあこれからも」
「聞いてね、私も聞くから」
「そうしようね」
 二人で話してだった。
 その日も共に眠りに入った、そうして。
 二人は大学を卒業して篤が就職してからすぐに結婚した、そして薫は自分を慕う篤の妹である碧まだ中学生に入ったばかりの彼女に自分達のこれまでのことを話した。すると碧は全て聞いてから言った。
「わかりましたけえ」
「お婿さんにどう接したらいいか」
「はい、ならわらわも」
「ええ、お婿さんに尽してね」
「そうしますけえ、義姉さんみたいな大和撫子になって」
 そうしてというのだった。
「そしてです」
「そして?」
「夜も尽しますけえ」
「あの、夜のことは」
「はい、わらわは怖がりなので結婚してからですが」
 式を挙げてからというのだ。
「婿殿に尽くしますけえ」
「尽すって」
「義姉さんみたいに抱かれて婿殿に尽して」
 夜のことを彼女なりに解釈して言うのだった。
「そのうえで過ごしますけえ」
「そうするの」
「初夜の時が楽しみです」
 碧はこうも言った。
「婿殿を見付けて」
「何か勘違いしていないかしら」
「それは違いますけえ、なら式の後に備えて」
 自分の白無垢姿を想像しながら話した。
「精進していきます」
「大和撫子になるのね」
「家事は全部出来て夫に尽くす奥さんに」
 まさにというのだ。
「なりますけえ、そして夜は」
「夜は然程でなくていいんじゃ」
「いえ、義姉さんは結婚前からですけえ」
 自分はそれは無理だがというのだ、結婚前からは。
「しかし」
「結婚したらなのね」
「わらわは婿殿に尽して」
 大和撫子としてそうしてというのだ。
「夜は抱かれますけえ」
「そうなりたいのね」
「はい、もう婿殿には」
 にまあ、と中学生とは思えないまでに好色そうな笑みを浮かべて言った。
「上から下から後ろからそして立っても。四十八で」
「四十八手ね」
「それは今から勉強します」
 そちらのこともというのだ。
「それで、ですけえ」
「お婿さんになのね」
「尽くしますけえ」
「そうなのね、まあいい奥さんになることはね」
 薫は碧が明らかに勘違いしているところがあると確信しながら述べた。
「いいことよ」
「そうですね」
「ええ、碧さんも頑張ってねえ」
「そうしますけえ」
 碧は誓った、以後薫は篤と仲睦まじい夫婦となった。だが。
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