第三章
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「味が出るから」
「だからですか」
「文章はありのまま書いていいから」
飾ったり気取ったりせずにというのだ。
「書いてね、里穂ちゃんテレビでも評判でユーチューブでもね」
こちらの活動も行っているのだ。
「評判いいから」
「売れっ子ですね、ですが」
湖を見つつ言った、やはり静かでタキタロウという巨大魚がいる様には見えない。
「私アイドルになりたいんです」
「そうだけれどね」
「社長さんがですね」
「君のその丈夫さを気に入って」
そうしてというのだ。
「こうした仕事ばかり持って来るんだ」
「そうなんですね」
「仕事があるだけいいよ」
マネージャーはこうも言った。
「やっぱりね」
「お仕事がないとですね」
「そう、お話にならないね」
「はい、それは」
里穂もそれはわかっていて頷いた。
「私もわかっているつもりです」
「だから仕事があるなら」
「何でもですね」
「することだよ、うちはおかしな仕事は持って来ないから」
「裏関係とかは」
「それで危ない仕事もだから」
あくまでホワイトだというのだ。
「安心して」
「そうしてですね」
「やっていってね」
「はい、ただ本当にです」
「歌にダンスにグラビアだね」
「やりたいです」
切実な言葉だった、兎に角だった。
里穂はアイドルとは全く違う未確認動物や妖怪を探したり秘境に行く様な仕事をしていた、それは国内に留まらず。
海外にも行っていた、中国の野人やアメリカのチャンプ、アルプスのタッツェルブルムを探しに行き。
ルーマニアに行けとも言われた、八条は笑顔で言った。
「ルーマニアといえばな」
「吸血鬼ですね」
「今度はドラキュラ公を番組で扱うからな」
「現地の報道ですね」
「ミステリーハンターになってくれ」
今度の仕事ではというのだ。
「いいな」
「あの、やっぱりです」
里穂は八条に事務所の社長の席の前に立ってそこに座っている彼に言った。
「私の仕事って」
「冒険だな」
「何時曲出るんですか」
「曲?冒険ならどうだ」
八条は明るく笑って返した、ここでも。
「それをテーマにしたな」
「アイドルの恋愛とかポップなのは」
「ないぞ」
一切という返事だった。
「君のキャラクターじゃないからな」
「私アイドルになりたいんです」
今もこう言うのだった。
「高校卒業して結構経ちますけれど」
「君はアイドルじゃないぞ」
「ええ、イモトさんの後継者ですよね」
「君はその座に確実に近付いている」
そうだというのだ。
「だからな」
「歌もですか」
「そうなるぞ、それにギャラはいいだろ」
「あと本も売れています」
自分で書いたそれもというのだ。
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