第二章
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「女性陣もいるし大丈夫だ、そしてギャラもしっかり出る」
「そうなんですか」
「だから安心して行ってくれ」
「あの、ですが私は」
アイドルではとだ、こう言おうとしたが八条の方から言った。
「後は神谷君と仕事の打ち合わせに入ってくれ」
「じゃあね、話していこうね」
神谷は丸い顔で一七四位の背で太っている、眼鏡とスーツがよく似合う外見だ。温厚そのものの性格である。
彼は温和でかつ堅実に里穂と仕事をしていった、そして。
里穂は無事に初仕事に入ってそれをやり遂げた、ここで彼女は次の仕事は歌かサイン会かグラビアかと思っていたが。
八条は事務所で彼女に明るい笑顔で言った。
「今度は比婆山に行ってくれ」
「あの、比婆山って」
「ヒバゴンが出るんだ」
この未確認動物がというのだ。
「噂ではな」
「そのヒバゴンを発見しにですか」
「行くんだ、いいな」
「あの、前は妖怪で」
里穂はここで八条に言った。
「今度は」
「未確認動物だ、その次は九州でいない筈の熊が見付かった」
この話もするのだった。
「だからだ」
「熊もですか」
「山に入り」
里穂にハイテンションで話した。
「探して来るんだ、ギャラはいいぞ」
「あの、ヒバゴンとか熊とか」
里穂はその八条にローテンションで言葉を返した。
「アイドルのお仕事ですか?」
「違うぞ」
八条は明るく笑って答えた。
「バラエティ、それも冒険系だな」
「私アイドルのオーディションを受けて」
そしてというのだ。
「事務所所属になったんですが」
「君は健康だ、頑丈と言ってもいい」
こう言うのだった。
「その頑丈な身体、体力と身体能力もだ」
「いいっていうんですか」
「だから君にはだ」
「ヒバゴンとか熊とかですか」
「妖怪もだ、君はあのイモトさんの後継者になれる」
八条はさらに言った。
「目指してみないか」
「ですから私はアイドルに」
こう言っても八条は聞かなかった、そうしてだった。
里穂は比婆山に行き九州の山にも入った、仕事はこれで終わらず。
長崎の海でモササウルスの屍が見付かったという話を受けてそちらの海に行ったりクッシーを探しに行ったりもした、そして。
今はタキタロウを探しに来ていた、ここで同行しているマネージャーに言った。
「あの、デビューして三年で」
「すっかり売れっ子になったね」
「歌一曲も出してないですよ」
湖のほとりで言った、今湖は静かだ。
「グラビアも」
「してないね」
「サイン会とかも」
「今度本が出るからそこでね」
「サイン会ありますか」
「うん、ちゃんと書いてるね」
「はい、時間を見付けて」
そうしてとだ、里穂はマネージャーに素直に答えた。
「書いてます」
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